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がん化学療法看護認定看護師 かみうせ まゆ の ~がん治療に役立つエッセンス~
第4回「引越しシーズン」~主治医が変わることになってもあわてずに~

掲載日:2021年3月12日 18時00分

 「がん」治療にまつわる、当たり前だけれど侮れない情報をお伝えする連載。第4回のテーマは、年度末ならではの、お引っ越しに関する話題です。

 患者さんの情報はしっかり引き継ぎ

 2020年度も残りわずかとなりました。
 春は人事異動の季節。

 主治医や病院スタッフが転職や異動をしてしまったり、ご自身が引っ越してかかりつけ薬局が変わったりして、「今度の担当はどんな人だろう?」などと少々不安になる方もいらっしゃるでしょう。

 ある座談会で、「手術をしてもらった先生が転勤になると聞いて、今後どうなるか不安です。若い先生が後任になるらしくて、経験はどれくらいあるのか……」という質問が出ました。

 不安な気持ちを抱くのは自然なこと。
 どうか、心配しすぎないでください。

 電子カルテや事前の引き継ぎを通して、患者さんの情報は申し送りがされ、連携を図れるようになっています。今の主治医より若くても、主治医になる医師は必ず、臨床経験を積んでいます。また、上司となるようなベテランの医師や診療チームと随時、情報共有・相談しながら、治療を提供していきます。


 

 遠距離通院は負担がいっぱい

 主治医が異動する、あるいは自分が引っ越すという場合でも、かかりつけの病院を変更せずに、以前の病院に片道2~3時間以上もかけて通院する方が多くいらっしゃいます。

 かつて勤務していた、がん診療連携拠点病院、非がん診療連携拠点病院においても、「○○先生に診断、手術の時からお世話になっているから、遠いけど通っています」という患者さんに複数出会いました。

 特殊な治療を受けていて、病院を変えられない場合は致し方ありません。しかし、そうでなければ、往復の移動に4~5時間、受付から治療終了までに丸一日かかるといったケースです場合は、よく考えたうえで決断していたきたく思います。日常生活と治療を両立していく中で、心身の負担が大きくなることが必至だからです。

 今までと同じ治療でも、通院時間が2倍、3倍になれば、エネルギーの消耗が激しくなって普段の生活に支障が出たり、予想以上に身体への負担がかかりやすくなったりします。

 体調不良時に受診する場合は、なおさら心身への負担が大きくなることが心配されます。


 アンケートから見える患者の本心

 がんサバイバー・クラブでは、3月第1週の週末(5日~8日)、公式SNSでアンケートを実施しました。

 お題は「がん治療中のお引っ越し、主治医の転勤、あなたならどうしますか?」です。81人の方にご協力いただきました。
 以下が実際のアンケートです(結果は%で表示)。

①引き継がれる医師(転居先の医師を含む)に任せる:71.6%
②主治医の病院についていく(施設異動、開業を含む):16%
③新しく通いやすい病院を探す:12.3%

 多くの方は、現在治療を受けている病院で、後任の医師に任せることを選びました。一方で、主治医について転院すること、新しく病院を探すとことを選んだ方もいらっしゃいます。

 別途、オンラインでの交流を通して、こんなコメントも聞かれました。

《公共交通機関で往復2時間以内だったら、主治医を変えずに通いたいぐらいの信頼感がある》

《治療や身体の状態によって転院も視野に入る》

《抗がん剤治療・病状が芳しくない場合などの場合、心身の負担・QOL(=生活の質)を優先し、家族や自宅から近いところが良いかと思っている》

《信頼する主治医の後任の医師も信頼したい》

《標準治療が効かなくなった場合、費用面、身体の負担を承知の上で、通院距離が長くなっても、セカンドオピニオンに行ったうえで、望みをかけられるような医師に出会った場合、引越し・転院することを検討するかもしれない》

《今は経過観察中。距離はかかるけれど、長くお世話になっていた信頼している主治医の病院へ10年以上通っている》

《セカンドオピニオンを受けたうえで、治療成績のあるチームでの治療を受けるため、遠いけれど、がん治療専門病院の近くへ、ホテル等を利用しながら通院したことがある》


 主治医が変わる場合の準備

 今までの病院で継続治療を受けても、主治医が変わると、何回か顔を合わせて慣れるまでは、少々緊張するかもしれません。

 新しく担当になった医師に、これだけは伝えてほしいことを診察時に伝えてみる、大切にしていることをメモしておき、診察時に提示してみるのも良いでしょう。

 看護師や薬剤師、医療事務スタッフなど、他の職員も、治療をサポートしたいと考えています。なかなか相談しづらい時は、迷わず受付で診察前に相談したいことがあると声をかけてみてください。


 主治医について転院する場合の準備

 たとえ同じ主治医であっても、病院を変える場合、詳細な検査データ・画像データ・治療経過・投薬歴等、多くの事前準備が必要です。
診療情報提供書(=紹介状)も必要になります。

転院先のホームページや電話問い合わせで、必要な手続きを情報収集。必要な場合は社会福祉士に相談するとよい。

 また、転院する場合、受け入れ先の病院によっては、いくつか手続きの違いがあるようです。
①主治医へ転院希望を伝え、病院の医療連携を通して予約を取る場合
②予め患者が転院先に問い合わせ、予約、必要な書類を提出後に初診日が確定する場合

 こうして転院したら、新しい病院の診察や治療の流れ、医師以外のスタッフ等、環境に慣れるところから始まります。

 もしも元の病院に戻りたくなった場合は、改めて紹介状が必要になり、初診扱いになります。予約がいっぱいの場合は待機時間が長くなるため、注意が必要です。


 通いやすい病院を探す場合の準備

 主治医の転勤のほか、病院の都合で診療科が閉鎖される場合もあります。
 また、遠方への引っ越し、家庭の事情等で、やむをえず新しい病院を探す場合、まずは今の病院の主治医に相談してください。そのうえで、必要に応じて、がん相談支援センターや、通院されている病院の社会福祉士に相談するとよいでしょう。

 通いやすさはどうか、病院で治療を受けられるか、費用面で心配なことはないか……普段の生活に支障が出ないかも含めて慎重に検討し、新しい環境に備えましょう。

綺麗に咲き誇る梅。桜便りが待ち遠しい。(撮影=かみうせまゆ)

 前回までの記事はこちらからご覧ください。

上鵜瀬 麻有(かみうせ まゆ)

 2002年に看護師免許を取得後、大学病院・がん診療連携拠点病院などで勤務。がん化学療法看護認定看護師。
 2020年6月より公益財団法人日本対がん協会に所属。
 2019年10月~2020年12月まで「忘れえぬ患者さんたち」を連載。
 こちらのシリーズでは、がん治療中の方はもちろん、経過観察中や他の病気で通院中の方にも役立つような情報をお届け予定です。

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