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がん化学療法看護認定看護師 かみうせ まゆ の ~がん治療に役立つエッセンス~
第5回 かかりつけ薬剤師さんに相談してみよう

掲載日:2021年3月30日 15時21分

 「がん」治療にまつわる、当たり前だけれど侮れない情報をお伝えする連載。第5回のテーマは、処方箋を受け取ると、誰もがお世話になる調剤薬局の薬剤師さんに関する話題です。

 調剤薬局が、薬を受け取るだけの場になっていませんか?

 医薬分業が進み、病院やクリニックで薬が処方される場合、多くの方が処方箋を受け取り、院外の薬局へ行かれることでしょう。

 2度手間ではないか? あっち行ったり、こっち行ったり。特に「がん」治療中の場合、一刻も早く薬を受け取って帰宅したい、と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私のお薬手帳、いつもかばんの中に(写真=かみうせまゆ)

 受付で処方箋を提出した後、処方薬を受け取るまでのあいだ、外出したり、読書やスマホを見て時間をつぶしたり……。

 調剤薬局は、単に処方された薬を渡してくれる場所ではありません。

 薬剤師は、患者さんの服薬状況を聴き取り、患者さん・ご家族から得た情報をトータルに判断し、必要な場合は、医師へ疑義照会(=薬の投与量・投与日数などを問い合わせる)をしたり、副作用のフィードバックをしたりする、あなたのサポーターでもあるのです。


 

 お薬処方に関する入院と外来の違い

 入院中は、病棟担当の薬剤師がベッドサイドへ伺い、服薬状況、副作用の有無、困っていることがないか等を随時確認します。そして、主治医を含め、医療従事者間で協力体制をとることができます。

 一方、外来通院になると、処方箋と、患者さん・ご家族からの情報が頼りとなります。また、年中無休、24時間受付というわけにはいかず、病院と調剤薬局間で情報共有が遅れてしまうことが散見されます。

「がん」治療中においては、抗がん剤の点滴や、臨時の注射等、お薬手帳に記載がない場合、薬の相互作用(効き目が強まったり、弱まったりする)、他の病院(診療科)からの処方と作用が似た薬が重複投与されていないか確認することが難しく、時に重篤な副作用につながる懸念があります。


 スムーズに治療を開始できたワケ

 昨年、テレビドラマにも取り上げられた、地域の“かかりつけ薬剤師”さん。
 私がかつて勤務していた病院で、受け持ちの患者さんたちに聞いてみたところ、活用している方は数名にとどまりました。

 複数の門前薬局(=病院近隣の調剤薬局)に、処方頻度が低い抗がん剤などが処方された場合の対応を問い合わせたところ、大手チェーン薬局でも、必要な分が確定してからメーカーに発注すると回答がありました。

 ある日、腫瘍内科外来で受け持っていた患者Aさんが、治療方針の変更で、次回の診察後に滅多に処方されない高額な抗がん剤が処方される予定になりました。

 私はAさんから、「○○薬局の、かかりつけ薬剤師のSさんに、お薬のことも、普段の困りごとも、いろいろ相談に乗ってもらっているわ」と伺いました。

 主治医へ処方予定の日、投与量、投与日数を確認し、事前に病院からかかりつけ薬剤師のSさんに連絡をしたところ、スムーズに新しい治療を開始することができました。

 現在受けている抗がん剤治療のみならず、日常生活のサポートを含め、いろいろ相談に乗ってくれていることがわかり、病院スタッフも心強いと感じた場面でした。


 地域の薬剤師さんは、身近なサポーター

 私もつい最近までは、調剤薬局を薬を受け取るだけの場として利用していましたが、かかりつけ薬剤師さんをお願いしようと思う出来事がありました。

 胃腸の具合が悪く、受診したある日のこと。担当された薬剤師さんが、「かかりつけ薬剤師制度」について教えてくれました。

 毎回、かかりつけ薬剤師さんが処方薬の説明・引き渡しをしてくれる。今までの処方歴を把握し、危険な飲み合わせがないかチェックしてくれる。薬局の営業時間外にも問い合わせ可能な連絡先がある。かかりつけ医と連携し、体調や薬に関する不安を解消してくれる。などなど、幅広いサポートをしてくれること等、サポートしてくれるのです。

(写真=クオール株式会社提供)

 かかりつけ薬剤師制度を利用すると、1回あたり数十円の負担が生じるものの、安心して治療を受け、主治医に聞き忘れてしまったことや、残薬の調整、生活のサポートなど、患者のメリットが大きいと実感しました。

 かかりつけ薬剤師さんは、患者・家族の心強いサポーターです。
 まだ利用していない方は、かかりつけ薬局に尋ねてみてはいかがでしょうか?

 参考サイト)クオール薬局 かかりつけ薬局の上手な使い方 
        https://www.qol-net.co.jp/know/familycare_pharmacist.html

 前回までの記事はこちらからご覧ください。

上鵜瀬 麻有(かみうせ まゆ)

 2002年に看護師免許を取得後、大学病院・がん診療連携拠点病院などで勤務。がん化学療法看護認定看護師。
 2020年6月より公益財団法人日本対がん協会に所属。
 2019年10月~2020年12月まで「忘れえぬ患者さんたち」を連載。
 こちらのシリーズでは、がん治療中の方はもちろん、経過観察中や他の病気で通院中の方にも役立つような情報をお届け予定です。

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