ケモブレインって何?
ケモブレインとは、「がん」の治療の中でも、特に抗がん剤治療を受けることが誘因となって、治療中や治療を終えてから、記憶すること、物事を考え判断すること、神経を遣う作業などに支障がでる症状を指します。

胃がんで治療を受けていたAさんの体験
Aさんは数年前に勤務していた病院で出会った胃がん治療中の60代の会社経営をする男性でした。 病状説明、2回に分けて行った治療方針説明は、毎回別宅に住む息子さんといっしょに、スーツ姿で来られていました。 主治医からの説明内容を一言一句漏らさないようにメモをとり、わからないことはその都度質問され、最新の胃がんに関するニュースにもアンテナを張り、「一日でも元気に過ごしたい」と話されていました。 飲み薬と点滴の抗がん剤を組み合わせた治療を受けていましたが、3コース目のスケジュールを相談する予定の外来で、Aさんに変化が現れます。 いつもは、スーツ姿のAさんが、部屋着でサンダル姿、無精ひげを生やしていらっしゃったのです。 また、治療ダイアリーのつけ方が変わったことに気づきました。 治療開始当初は、以下のような自由記載のほかに、がんの治療を受ける方向けの治療ダイアリーには、気になる症状は欠かさずチェックをつけられていました。 その他にも、以下のように細かく、いつ誰とどのようなやり取りがあったか記載をされていました。 ○月○日○時〇分、外来でB医師の診察を受ける。 診察の後、C看護師から外来治療室の案内を受ける。 調子が悪い時の連絡先は ○○―△△△△―××××。 抗がん剤を飲み忘れたら、1回分飛ばす。 しかし、抗がん剤を飲んだかどうかのチェック、気になる症状のチェックが抜けたり、それまで細かく記載されていた自由記載はなくなったり、どこか浮かない表情で、活気もありません。 私(看護師) 「Aさん、いつもつけていただいているダイアリー、このチェックが抜けている期間についてお話聴かせてください。」 「抗がん剤は飲めていましたか?調子がわるい期間はありましたか?」

ケモブレインが現れても慌てず、うまくつきあうために
最近では、多くの抗がん剤治療が外来通院で行えるようになっています。
しかしながら、治療と仕事を両立していく中で、がんと向き合う中で生じる心理的変化のほかに、ケモブレインによって当たり前のことが思い出せない、仕事でミスにつながるなど、自尊心に傷がつき、治療に専念するか、仕事を休むか辞めるか悩む方が多くいらっしゃいます。
ケモブレインは個人によって症状は様々で、普段の生活に支障が生じる場合とそうでない場合、自覚できる場合とそうでない場合があります。
もしも、抗がん剤治療開始後(治療終了後も)、思い当たる症状がある場合はひとりで抱え込まず、箇条書きで良いので、どのような症状で、普段の生活のどこに支障が出て困っているのか、主治医や看護師にご相談ください。
ケモブレインによるものなのか、脳に病変があるのか、あるいは別の薬の副作用なのか、他の臓器障害によるものなのか、患者さんの声が治療につながります。
参考サイト) 以下いずれも2021年10月5日最終閲覧
1)がん情報サービス もの忘れ、認知機能の低下
https://ganjoho.jp/public/support/condition/cognitive_decline/index.html
2)聖路加国際病院 ケモブレインの謎を解く
https://hospital.luke.ac.jp/about/approach/pdf/ra22/4/research_activities_4_2_1.pdf
