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テーマ「あなたの『生きる』に寄り添う人がここにいる」 ~「ジャパン キャサー サバイバーズ デイ 2019」レポート第4部 出展団体の発表(午前の部)~

掲載日:2019年7月25日 13時42分

 JCSD2019には、30団体がブースを出展し、日本対がん協会会長の垣添忠生が冒頭のあいさつで述べた「集まった方たちが新しい連携を培っていただければと思います」というメッセージ通りの光景が見られました。また8団体が順番で、ホールで活動を発表しました。それぞれが「寄り添う」を軸にした、個性的で魅力的な発表を午前の部と午後の部に分けて採録します。

   

がん制度ドックを活用しよう ~NPO法人がんと暮らしを考える会~

 出展団体の活動発表は、午前中に3団体、午後に5団体が行った。  一番手は、NPO法人がんと暮らしを考える会(がんくら)の黒田ちはる事務局長。看護師でファイナンシャルプランナーでもある。

発表する黒田ちはるさん。誰もが治療以外の悩みを抱えている

「私たちは、お金や仕事など社会的な悩みを一緒に考える専門家の団体です」  がんと向き合う人の悩みは、治療など医学的なものだけではない。社会的な悩みが解決・軽減されることで楽になる。がんくらでは、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーらが相談に乗る。

 がんくらのセールスポイントの一つは、「がん制度ドック」という検索サイト。自分の情報を入れると、利用できる公的支援制度や民間の医療保険制度を探せる。自分に適した制度が見つかれば、自ら申請したり、病院のがん相談支援センターで相談したりできる。やり方がわからない場合は、がんくらで相談に応じる。

 がんくらでは、都立駒込病院、さいたま赤十字病院、兵庫医科大学病院など全国10の病院で月に1回程度、個別相談事業を行っている。

 6月からは一般向けの無料講座「がん制度大学」も始めた。休みの取り方、障害年金などのテーマごとに5回。基礎の基礎を学べるという。

   

患者さんが治療で迷子にならないように ~がん情報サイト「オンコロ」~

 続いて、がん情報サイト「オンコロ」の中山裕樹さんが登壇した。

 オンコロが大切にしているのは、①正しい情報を発信すること(マイナスの情報も含めて)、②様々な人とつながり、よりよい医療環境づくりに貢献すること、③がんを正しく知ってもらうこと、の3点だ。

オンコロは、3Hメディソリューション株式会社が運営している

「患者さんが治療で迷子にならないことを心がけています」

 オンコロのキャッチフレーズは、「がんと・ひとを・つなぐ」。具体的には、全国各地でがん診療連携拠点病院の医師らによるセミナーを実施したり(累計150回以上)、臨床試験(治験)を紹介したり(累計3500人以上)、患者の声を届けるため製薬会社などの調査に協力したりしている。100人以上の拠点病院の医師らが活動に賛同してくれている。

 新たな取り組みとして、オンコロオリジナルの「がんになったら手に取る本」を作成中だ。

 また、5月から試験的に、治験を一括で検索する検索エンジン(オンコロトライアルサーチ)も公開した。

「治験は、患者さんの治療の選択肢になるかもしれないのに、自分に合った治験の情報を見つけるのが難しい。がん種や薬の名前などから検索し、適当な治験が見つかれば、主治医に相談して治験に参加する、という流れです」

   

33万枚の写真が届ける癒し ~NPO法人癒し憩いネットワーク~

 NPO法人癒し憩いネットワークの牛尾恭輔理事長は、国立がんセンター(現国立がん研究センター)や九州がんセンターで大腸がんの画像診断に取り組んできた。その過程で「画像の力」を目の当たりにして、今はそれを「癒し」に生かしている。

「私は、北海道から石垣島まで、花や海、山、懐かしい景色などを撮ってきました。もう20年になります。昨日も東京タワーを撮りました」

 同ネットワークでは、蓄積した約33万枚の写真、約1万2千の動画をデータベースにしてネットで公開している。1日に5万~6万のアクセスがあり、2割は海外からだという。

 どれも、見ているだけで気持ちがほぐれてくる。病室にいても自然を感じられる。

牛尾恭輔さんが示した一行四窓の例。がんサバイバー・クラブのサイトでも見られる

 1行の文章を真ん中に置き、それを囲むように4枚の写真を配する「一行四窓(いちぎょうしそう)」も作成している。写真の代わりに動画をはめこみ音楽を付けたバージョンもあり、最後に撮影地が表示される。

 そして、「癒しの音楽会」。九州がんセンターで50回以上院内コンサートを開いたピアノの演奏家が弾く「里の秋」「浜辺の歌」などの童謡やクラシック曲に、風景や花の写真が組み合わされる。牛尾さんが会場で流すと、聴衆がグッと引き込まれた。

   

 

フィットネスや垣添忠生のサイン会も

 3団体の発表が終わり、一般社団法人キャンサーフィットネスの協力で、がん患者のための簡単エクササイズが行われた。  会場を埋めた人たちも、壇上のインストラクターの動きに合わせて、足踏みをしたり手を動かしたり。椅子に座ったままでもできることがありがたい。

お昼休みには、一般社団法人キャンサーフィットネスの協力で、がん患者のための簡単エクササイズが行われた

 JCSD2019では、ブース展示の会場もにぎやかだった。説明に耳を傾けたり、ネイルなどのケアを受けたり。日本対がん協会会長・垣添忠生の著書『「Dr.カキゾエ黄門」漫遊記 がんと向き合って50年』(朝日新聞出版)のサイン会も行った。

 がんサバイバー・クラブでは来年も、6月7日に同じ会場で、JCSDを開催します。

午後の部へ

垣添忠生のサイン会

ネイル、ハンドトリートメント、メイクなどの美容ケアも人気を集めた

小児がん啓発のレモネードスタンドにも多くの人が足を運んだ    
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