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医療用麻薬は怖くない

掲載日:2019年11月7日 9時59分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも少なくありません。日本対がん協会のがん相談ホットラインにはたくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。シリーズ「がん相談ホットラインより」で相談員の思いをお届けしています。
  

「医療用麻薬」について、皆さんはどんなイメージを持っていますか?

 麻薬中毒になるから怖い!  この薬を使うのは最後の手段。もうダメだから使うんじゃない?  身体が動かなくなって命が縮まる。  こんな風に思っている方がいるかもしれません。

 こうした昔ながらの麻薬の悪いイメージは根強く、相談でも同様の声をよく聞きます。 「医療用麻薬」は、モルヒネに代表される、がんの痛みの治療で使われるオピオイド鎮痛薬のことです。  1986年に、がん患者が痛みから解放されるようにという意図で「WHO方式がん疼痛治療法」が発表されました。それから医療用麻薬の種類や形状が増えて使いやすくなり、以前よりも痛みのコントロールができるようになってきました。

 しかし、それでも医療用麻薬に対する誤解のせいで、痛みのコントロールが上手くいっていない方は少なくありません。 「痛みがあって辛いです。なんとかなりませんか?」。化学療法中の方からの相談でした。

この相談者は、痛みのせいで外出できないばかりか、座ることもままならないといいます。よく聞いてみると、担当医から処方された医療用麻薬を服用していないことがわかりました。

「早くから使い始めると効果がなくなってしまう。治療もできなくなる。中毒になるのも嫌だから、我慢できなくなるまで使わない」。こう思ってずっと痛みに耐えてきたそうです。

 がんそのものの治療中でも、痛みの治療は重要です。痛みがあると体力を消耗したり、苦痛で心も辛くなったりして、日常生活に影響が出てしまうことだってあります。


 医療用麻薬は痛みの度合いに応じて量を増やすことができますし、痛みのある人に医師が適切に使用した場合は、中毒を起こすことはありません。正しく使うことで痛みが和らぎ、自分らしい生活を送れるようになることもあります。

ホットラインでは、痛みの辛さや薬を使うことへの不安を受け止めたうえで、医療用麻薬の正しい知識を伝え、適切な使用に繋がるようなサポートを心掛けています。 医療用麻薬の使用に不安や抵抗を感じている方は、医師だけではなく、看護師や薬剤師にも相談してみてください。きっと納得のいく答えが返ってくると思います。


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