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第32回「自分」にちょうどいい、がんの仲間の探し方
木口マリのがんのココロ

掲載日:2019年11月21日 11時00分

「とてつもない孤独感」――それが、「がん」や「死」を初めて身近に感じたとき、私の心を包んだ闇でした。

 すぐ隣に家族や友達がいるのに、その存在がとても遠く思えてしまう。心が通じないように感じてしまう。

 それは、集団の中での虚無。一人きりでいるよりも、もっと寂しく、もっと苦しいものでした。
「患者にとって、最も恐ろしいことの一つは、この孤独感なんだ」と強く実感したことを、今でもよく覚えています。

 ところが案外、近くに仲間はいるもので、それが分かりさえすれば孤独感は消えていきます。さらには「同じ苦難を経験してきた」という事実が強い絆になり、トリモチのような吸着力でくっついて、「出会った途端に親友」のようになることも多々。これは「がん」の、意外な利点とも言えます。

 しかし最初は、どこへ行ったらそんな出会いがあるのか、知っているはずもありません。そこで、私が実際に試してみた数々の出会いの場を紹介したいと思います。

まずは病院内をチェック!

とあるセッションで、グループ発表。ここまでやるイベントはパワーがいりますが、たまにやってみると面白いです。

「患者会は何となく行きづらい」という声を耳にします。実は、私もその一人でした。

 治療中に私が感じていた患者会のイメージは「涙ながらの語り合い」で、私には合わないと思っていたからです。

 実際に参加してみたら、どの会でも感情的にならずに話す人がほとんど。ときに気持ちがあふれて涙する方もいますが、それはきっと会の雰囲気が温かいからで、いわゆる「傷のなめ合い」のようなものを感じたことはありません。

 大きな病院の多くでは、患者・家族のための交流会を開催しています。だいたいは「がん患者交流会」というようなダイレクトなネーミング。がん相談支援センターや、診察の待合室などにチラシがあることが多いようです。

 患者だけでなく、「遺族交流会」などを行なっている病院もあります。その病院に通院していなくても参加できるものもちょこちょこあります。

 だいたいは看護師や医師が交流会をまとめていて、私が参加したいずれの病院の会でも、「話したくなければ聞いているだけでもいい」と案内してくれました。

「どんなところか不安」「私が行ってもいいのだろうか」など、参加をためらっている人も、とりあえずのぞいてみたらいいのではと思います。

病院交流会での「栄養」レクチャーのいただきもの!

 以前参加したある病院の交流会では、グループごとに数人の医療者が加わっていました。ある医師は、「私もここで患者さんと話すのを楽しみにしているんです」と言っておられました。診察室では見られないような医師の姿を知ることができるのは、大変興味深い。

 ちょっとした講演会や、医療・生活に関するミニレクチャーをプラスしているところもあります。特に「食」に関するレクチャーでは、栄養補助食品の試食やサンプルがもらえたりして、ちょっとおトク(笑)。

 ただし、おおまかに「患者交流会」とうたっていると、参加者は実に多種多様。がんの種類、年齢、性別もさまざまです。

院外にも患者会はたくさん! ニーズに合うものを探そう

 患者会は、世の中に無数にあります。ひとつのがん種でも、いくつもの会が作られている場合もあります。住んでいる地域や、参加者の年齢層、イベントの内容などで、より自分に合うものを探せるのが利点。

 たとえば私は、「女性特有のがん」をネット検索し、タレントの原千晶さんが立ち上げた「よつばの会」を見つけました。参加者は、一度に10人程度。がんの種類やそれに伴う悩み、年齢が近い仲間と集うことができたのは、当時の私にとっては新しい経験でした。

 通ってきた苦難や、得てきた学びや楽しさをきちんと受け止めてもらえたのは、思えばそのときが初めてだったかもしれません。話が通じること、それをお互いに素敵だと感じることが、「いいもの」として心に残ったのだと思います。以降、いろいろながんのイベントや会に参加していくようになりました。

コレは盲点! ボランティアとして参加してみる

初めてのがんイベント・ボランティア。ここで知り合った方とは、その後もさまざまな場面で協力し合う仲に!

 近年では、たくさんのがん関連のイベントが開催されています。「リレー・フォー・ライフ」(公益財団法人 日本対がん協会)、「ジャパン・キャンサー・フォーラム」(NPO法人 キャンサーネットジャパン)などなど。

 なかにはボランティアを積極的に募集していることがあり、参加してみるというのも、仲間と出会うとてもいい手段です。患者会よりも参加しやすいうえ、協力すれば感謝されるという特典もついてきます。おまけに、「自分の経験が誰かの役に立つ」と思えるのは大きなポイント。

 私が初めてボランティアに参加したのは、アキバ・キャンサー・フォーラム(現在は、ジャパン・キャンサー・フォーラム)。当時はまだ体力がなかったため、開催前夜の準備と、開催1日目の午前中のみ、お手伝いをしました。

 労働力の提供がメインなので、患者会のようにしっかりと話すことはできませんが、一緒に作業をしながら「あなたもがん経験者ですか」など、普通の会話のようにがんのことを話したり、つながりを作ったりしていくことができます。

 つながった人たちとお話しするうちに、「こんなイベントがあるよ」と情報を得ることも多い。興味のあるものに足を運んでいたら、いつの間にか仲間が増えていきました。

 イベントでは、だれかと久しぶりに再会するたびに「お〜〜!」と言い合っています。第一声がなぜか必ず「お〜〜!」なのが面白い。ぜひ、再会の折には意識してみてください。

 がんは治る病気になってきているとはいえ、命の限りを強く意識する人は多くいます。それだけに、がんをきっかけにつながった仲間は、一生モノ。病気からそんな出会いを得られるのも、人生の不思議だなぁと思います。

気乗りしないときは、無理に話さなくてもいい

がん仲間、3人組!! @ジャパンキャンサーフォーラム2019

 と、このようにさまざまな「仲間の見つけ方」を書いてきましたが、「参加してみたけれど、あまり気乗りしない」というときもあると思います。

 私はけっこうあります。疲れていたりすると、だれとも話したくなくなってしまう。集まっている人の雰囲気がちょっと自分に合わないこともあります。

 そんなときは、無理に話したりしないようにしています。語りかけられれば笑顔で会話はするけれど、会の終了と同時にスーッと帰ってしまう。誰一人とも話さなかったこともあります。

 私は、それでいいと思っています。
 人によってストレスのポイントは違いますが、無理をすることが強いストレスになるくらいなら、自分を大事にする方がいい。

 仲間を見つけるのはとても素敵なことだけれど、それには自分のコンディションも重要です。ちょっとがんばって一歩を踏み出してみて、ダメそうなら下がってもいいと思います。

 いくつか参加してみれば、しっくりくるものもあるはず。
 仲間は必ずどこかにいます。人は、出会うときに出会うもの。マイペースで出会いを見つけていってもらえたらと思います。

木口マリ

「がんフォト*がんストーリー」代表
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。

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