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第53回 ウィッグでハッピーを呼び込むために 〜基本編〜/木口マリのがんのココロ

掲載日:2020年11月20日 10時00分

 脱毛のお供であるウィッグ(かつら)。抗がん剤治療中の基本アイテムです。
 しかし、ウィッグは多くの人にとって初めての出来事で、「どうしたらいいものやら」と途方に暮れてしまうもの。

 いつまでに準備するべきなのか、幾らかかるのかなど、細々としたギモンが湧いてくるものの、相談できる人が周りにいないことも多々。

 そこで今回は、私の「ウィッグ探し」の経験を凝縮した、基本のキをまとめてみました。 

まずは、「本当に脱毛するのか!?」をチェック!

日記のイラスト「ウィッグでお出かけ」。

 ウィッグ探し……の前に、重要なチェックポイントを一つ。
「その薬は、本当に脱毛するのか!?」

 医師から「抗がん剤をやりましょう」と聞いた直後に慌ててウィッグを買ってしまうのは、実は“あるある”なミステイク。

『第14回 脱毛はコワくない〈脱毛・其の一〉』でも触れたように、近年のがん治療は相当に進歩していて「脱毛ナシ・吐き気ナシ」など、副作用を抑えたお薬もたくさん開発されています。

「せっかく買ったのに抜けなかった……」なんてことになるかもしれません。私の周囲には、診察室を出たその足で美容室に行き、髪を切ってしまった人もいました。慌てず急がず、まずは主治医や薬剤師に相談してみてください。

脱毛開始は、投薬の2〜3週間後

わざわざ日記に描いた「本日の抜けた量」(笑)。

 脱毛が確定しても、投薬後すぐに脱毛するわけではありません。個人差はあるものの、よく言われるのはお薬開始から2〜3週間後。それまでにウィッグを買うなり、帽子やスカーフを買うなりすればいいので、時間的には意外と余裕があります。

 しかし、私は手術後に入院したまま抗がん剤治療を行うことが決まったため、身体がフラフラで全然動けず、周囲にお店の訪問を勧められても「そんなことできるか」と、内心思った覚えがあります。

 そこで私は、病院に置いてあるパンフレットやネット検索での情報収集から始めました。ウィッグだけでなく、家でくつろぐときや、寝るときのための「ケア帽子」(縫い目が頭皮に触れない、柔らかい素材などの、刺激の少ない帽子)も探してみました。

 ちなみに脱毛の仕方も人それぞれ。素早く全て抜ける人も、私のように徐々に抜ける人もいます。治療が終わるまで生き残った髪も数本ありました(観察のためにあえて放置)。

ワクワクしながら選びたい

3回目の投薬後。まだまだ髪は生き残っていました。

 2013年当時、医療用ウィッグのパンフを見ていて思ったこと。
 それは、「ダサイ!」「何か、楽しくない!」。

 私が治療していたころの医療用ウィッグ事情は、まだまだ腫れ物に触るようなもの。モデルさんや色合いに元気がなく、落ち込んだ人をさらに落ち込ませるような残念な有様でした。最近はオシャレなカタログも増えてきて、だいぶ楽しそうな雰囲気になっています。価格帯も、以前は数十万円が中心だったのが、安価(といっても数万円)なものも多くなってきたようです。

『第15回 脱毛を楽しむススメ〈脱毛・其の二〉』でも書いたように、数万円もする買い物なら、ワクワクしながら選びたい。そして「早くこれをかぶってお出かけしたい!」と思えるウィッグに出会いたいものです。

医療用、それともファッション用?

残った髪を活用しつつのスカーフ巻き。

 私が熟考のうえ購入したのは、医療用ではなくファッション用のウィッグでした。オンラインショップに載っているモデルさんが、いずれもとにかく明るくかわいく、見ているだけで気分がどんどん上がってきたのが決め手でした。脱毛のことを忘れて、ウィッグ選びに没頭してしまうほどに(笑)。

 そして何より、医療用に比べてかなり安い。私が買った2つは、3000円くらいと8000円くらい。人工毛(合成繊維で作られた髪の毛)100%でしたが、子供のころに遊んだリカちゃん人形の髪のようにキシキシしたり絡んだりせず。
 1つは驚くほど肌触りもよく、現代の化学ってすごい! と感じました(もう片方は少しだけキシキシでした)。

 人毛で作られたウィッグは、当然ながら、肌触りが「人間の髪の毛」です。きっと着け心地がいいだろうと試しにかぶってみたところ「自分の髪ではない」と改めて感じたのが、正直なところでした。
 自分の頭から生えている髪には、体温があります。ほんの少し、あったかいのです。それがないのを、物足りないと思いました。

 人工毛は安価で、型崩れせず手入れがラク。人毛は高価ながら肌触りが自然で、カラーリングやパーマも楽しめるなど、それぞれに利点があります。メーカーの試着室などで実際に触れてみてもいいかもしれません。

試着のできる病院や、助成金制度のある自治体も

 以前、国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センターへ、ウィッグの試着に行ってみました。

 壁一面にウィッグが並んでいて、髪型、髪質、色や素材、メーカーも様々。いつもと違う髪型を試したり、カウンセラーさんと「コレ似合う〜!」とやりとりしたりと、なかなか楽しかったです。自由見学のほか、個別のカウンセリングやセミナーを受けることもできます。

 最近では、試着ができる病院も増えています。ウィッグの助成金制度を設けている自治体もあるため、調べてみることをオススメします。


 私にとってウィッグは、抜けてしまった髪の代わりというよりも、脱毛をきっかけに新しい自分を楽しむためのアイテムでした。つらい気持ちになってしまうときだからこそ、ウィッグはハッピーを呼び込んでくれるようなものであってほしい。多くの人が、抗がん剤治療中も心地よく過ごせるようになるといいなと思います。

 次回も引き続きウィッグのお話。「風で飛んでしまうのでは!?」「いかにもズラっぽく見えてしまうかも」など、ウィッグ装着中のギモンについて書いていきます。

現在、脱毛に関するアンケート実施中!!
是非、あなたのがんによる「脱毛」体験を教えてください!
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木口マリ

「がんフォト*がんストーリー」代表
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。

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