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小林麻央さんについて、メルマガにお気持ちを寄せていただき、本当にありがとうございました

掲載日:2017年7月13日 11時59分

麻央さんの旅立ちを忘れないために

「愛してる」
 小林麻央さんはそう言って旅立ったと、夫の市川海老蔵さんが語っています。自宅で過ごせた最後の日々は「かけがえのない時間」であった、とも。
 麻央さんの2年半以上にわたる闘病と旅立ちは、哀しくも美しい物語として、多くの人の心に染みいったことでしょう。

 それから3週間が過ぎ、7月も半ばになりました。深い感動も日常に追われていつしか忘れてしまう。そんな“消費”の仕方は、少なくとも「がんサバイバー・クラブ」ではしたくない、と考えました。
 また、このメルマガの読者の方々は多様な受け止め方をされているだろう、という予感もありました。
 みなさんのお気持ちを寄せていただいたのは、そうした思いからでした。

家族には見せられない気持ちを共感できる場

 がんの陰に隠れない。なりたい自分になろう。
 麻央さんがブログを立ち上げたときの決意は、読者にしっかり伝わりました。兵庫県で暮らす40代半ばの乳がんの女性は、3人のお子さんをお持ちです。
「麻央さんのブログは、なかなか口では言えないことも率直に書かれていました。麻央さんのお子さんたちが将来読んでも、誇らしく思えるでしょう。私にとっても、心の支えでした。今はポッカリ穴が空いた感じです。私も自分の生き方を見直して、精いっぱい生きていこうと思います」

 つらいこと、厳しい状況も真正面から描かれていたからこそ、読む人が前向きな気持ちになれるのでしょう。ブログから力を得た方は少なくありません。
「私も頑張っていたけれど、まだまだと思えたし、私だけがつらいのではないと思いました。そして麻央さんのブログにたくさん共感し、励まされました。今はただ無力感でいっぱいです」(30代後半の女性)

「抗がん剤の副作用で苦しいとき、もっと苦しいはずの麻央さんの前向きな優しさにあふれたコメントに何度も励まされました」(60代半ばの男性)

「私が最も恐れているのは、病気に絶望して自分を見失うことです。麻央さんの姿勢は、その不安を払拭するのに十分でした。彼女の精神の崇高さは、がんの人々に希望を与えると思います」(50代前半の女性)

埼玉県の30代後半の女性は、がんの種類や状況は違っても、同じように母であることから麻央さんを身近に感じていたそうです。亡くなったことにショックを受けつつ、
「彼女のように私も家族にもっともっと日々愛を伝えたい」
とより強く思ったと書いています。

「麻央さんのブログは、ときに励まされ、笑い、涙する。家族には見せることのできない闘病中の気持ちを共感できる場でした」
 そんな気持ちを綴った40代前半の女性もいます。手術後、転移はなかったものの、放射線や抗がん剤治療を受けました。ママ友には、がんのことを伝えていません。この方は「きっとこれからもブログを訪ねると思います」と記しています。
 きっと麻央さんのブログこそが、素顔の自分を開放できる場なのでしょう。

何の差だろう

 ブログに対する共感は、状況の違いを越えて広がっていたようです。
「麻央さんの言葉に共感してばかりでした。お金や身の回りのことを心配することもなく、素敵な旦那さまと可愛い子どもたちと、つらいながらも豊かな闘病生活を送れて、バツイチ子持ちの私から見たら幸せな闘病生活だったろうと思います。私はのんびり過ごしたいけれど、子どものために仕事をしています」(40代後半の女性)

「よくがんばられたと思います。一般的な環境と違い、我慢も多かったことでしょう。自由に外出したり、入院中に院内を歩き回ることもできなかったと推測します。ブログの笑顔を悲しく感じることもありました」(50代半ばの女性)

「有名でお金のある人は、選択肢が多いゆえに大変ですね。私は1年間、週1回の治療を受けながら、治療費のためにパートで働いていました。生きるため、お金も身体も心もしんどかった。ブログ、たまに拝見していました。ショックでした」(50代半ばの女性)
 
 そんな中で、大腸がんでステージ3と診断された神奈川県の40代前半の女性は、複雑な心境を明かしてくれました。
「まさか自分ががんになるとは思ってもみなかった。入院する度に麻央さんのブログを読みました。生きたい必死さが痛いほどわかりました。彼女は亡くなり、私は生かされている……。生きたいのはみんな一緒。何の差だろうといまだに考えています」
 何が違うのか、その差がなぜ生じるのか。答えを出せる人はいないでしょう。がんに限らず、戦災や災害でもあてはまります。人の明日は、誰にもわかりません。
 
 だからなのでしょう。「母親として、サバイバーとして勇気と共感を得てきた」という経過観察中の女性は、ブログを読みながら、
「毎日が送れることがあたりまえではないこと、そこから希望を持ち続けることの大事さを痛感していました」
と心情を吐露しています。
 それは、一日一日を大切にし、周囲に感謝することにつながりそうです。

「いいね」をできなくて

 一方で、麻央さんのブログを読めなかったという声もありました。
「大腸がんのステージ4で化学療法を受けています。麻央さんのことはテレビで拝見するぐらいでした。麻央さんが痛々しく思われ、また私がこれから体験するであろうことだと思うと、怖くて不安で、ブログを見る精神的な余裕がありませんでした」(50代前半の女性)

「2年前に卵巣がんで手術を受け、リンパへ転移し抗がん剤治療もしました。抗がん剤を終えて1年になりますが、ブログは怖くてずっと読めませんでした。最近、少し気持ちが落ち着いて、頑張れという気持ちで見始めたところです」(30代半ばの女性)

「公開当初から、本人とご家族につらい結果になるであろうと想像できました。自分の将来を見るようでもあり、率直に言って、つらくてほとんど見ていませんでした。前向きなものを得られるとは、私の場合は思えませんでした」(50代半ばの男性)
 
 こうした気持ちは、サバイバーだけが抱くわけではありません。母、夫、娘のケアギバー(サバイバーを支えている人)という50代前半の女性も、
「ブログを読んで麻央さんの状態と自分を重ねてしまう人がいたら、つらすぎるかと思います。捉え方によっては恐怖感ではないでしょうか。一度も『いいね』はできませんでした。私も限界です!」
 と書きました。「!」から、この方の切実さが伝わってきます。少しでも息抜きの場を作れるとよいのですが。別の女性も率直に述べています。
「ブログは、昔ながらの『がん=死』のイメージを広げたと思います。社会復帰してがんのイメージを変えたいと思っている患者には、どこまで有益だったのかはわかりません」

 一見すると厳しい表現になるのは、がんと真摯に向き合っているからでしょう。ただ、麻央さんを否定しているわけではありません。
「全面的な賛辞で伝えられることには若干の違和感を覚えます」という宮城県在住の40代の女性は、麻央さんとの医療格差も痛感したそうです。
「批判ではなく、同じがん患者でもブログの受け取り方はそれぞれだと理解していただければと思います。まだ命をいただいている自分としては、できる限りの治療をし、ささやかでもできることをしていきたいです」

「生」への情熱

 お寄せいただいた声は数多く、すべてを紹介できませんでした。
 麻央さんのブログに対する思いは、さまざまです。それぞれの状況でがんと向き合っていることを考えれば、不思議ではありません。
 ただ、どの方にも根っこに共通して感じ取れたのは、「生」への強い意志、情熱です。
 だからこそ、みなさんの声が、心に届くのだと思います。
 どうもありがとうございました。(記事:中村智志)

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