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ホルモン療法の副作用にも周囲が理解を

掲載日:2018年11月13日 13時44分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも少なくありません。日本対がん協会では2006年より「がん相談ホットライン」を始めました。たくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。新シリーズ「ホットライン便り」でお届けいたします。

それぞれに異なる副作用に周囲が理解を

「副作用がつらくて……どうにかならないでしょうか」  受話器ごしに、苦悶する表情が目に浮かぶほど苦しい声で話し始めたのは、乳がんでホルモン療法をしている女性です。  症状を聞くと、ほてりや発汗などのホットフラッシュがあり、一日に何度も着替えるほど汗をかくといいます。  手指のこわばりや関節痛もひどく、包丁を握るどころか、洗濯ばさみで洗濯物を挟むこともままならない。疲れ易く、だるさも激しいため、日中も横にならずにはいられない。さらにイライラもこうじてくる。様々な症状に苛まれています。

 担当医から副作用は「抗がん剤より軽い」と説明されていただけに、自分だけかもしれない、と思い、不安や辛さは増す一方だったそうです。担当医に相談しても「仕方がない」「そんなにひどくなることはない」と対応策を講じてもらえないばかりか、十分に向き合ってもらえない…こうした経験は相談者に限ったことではありません。もちろん適切に対応してもらっている人もいますが、十分に対応されていない人がいるのもまた事実です。  さらに相談者を辛くさせたのは、家族から理解されないことです。外見は普通に見えるだけに、「元気そうだし、家にいるのだから」と家事を全く手伝ってもらえません。  かかる医療費を思うと、相談者もせめて家事くらいしなくてはと、「家族に協力してもらうのは申し訳ない」。そう思っていました。
 がん治療で「副作用」というと、多くの人が抗がん剤を思い浮かべるでしょう。  しかし、副作用が軽いと思われているホルモン療法にも様々な副作用があり、相談者のように日常生活に支障をきたすほど苦しんでいる人も少なくありません。  許容できる範囲の症状の人もいて個人差はありますが、5年など長期に渡り治療が続くと、じわじわと体に響き生活の質を低下させてしまうこともあるのです。それだけではありません。体の不調に加えて周囲の理解がないと、心まで辛くなっていきます。「誰にもこの気持ちをわかってもらえない」と辛さや孤独な気持ちを吐露される人は多くいます。こうしたことを考えると、ホルモン療法の副作用も軽視できないのです。

 治療を続けるには家族や周囲の理解や協力は欠かせません。一人で頑張ろうとせず、家族や身近な人にサポートしてもらうことも大切で、病気と上手に付き合っていく秘訣です。そのことを伝えると共に、不安や辛さを受け止め、生活の工夫や担当医への伝え方など助言し、少しでも副作用の軽減に繋がり、心の辛さも和らぐよう心掛けています。
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