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糖尿病食のお弁当を食べながら考えました

掲載日:2019年6月12日 11時12分


えっ、これが糖尿病の食事?

 お弁当は、糖尿病の食事とは思えないほど、味付けがしっかりしていました。ハンバーグきのこソースかけ、揚げないカツオの竜田揚げ、黒酢仕立ての煮玉子、パプリカのマリネ、にんじんサラダ、オクラのオイスターソースあえ、ベイクドポテト、玄米のごはん…… 。ハンバーグは脂の多い牛肉ではなく豚肉です。

 6月5日、第2回おいしい健康研究会に参加しました。株式会社おいしい健康が設立した一般社団法人食と健康オープンイノベーション協会の主催です。  この日のテーマは糖尿病。約3時間の会で、特別講演をされた矢作直也・筑波大学糖尿病内科准教授のお話が特に印象に残りました。

 戦後50年間で糖尿病人口は約40倍に増えて、今は約1000万人に上ります。糖尿病は、血糖の管理に加えて脂肪分の摂取にも気をつけることが大切です。「糖尿病は血管にもかかわる病気」という見方を聞いて、目から鱗が落ちる気がしました。
いただいた糖尿病食のお弁当。これで約650キロカロリー。野菜は約200グラム。


がんと通じる要素がたくさん

「生活習慣病は、治療から予防へ」とおっしゃる矢作先生は、2つのポイントを挙げました。  1つは、生活改善。糖尿病予備軍(境界型糖尿病)から糖尿病の発症まで約10年かかります。自覚症状もないので気にしない人が多いそうですが、この期間にバランスの良い食事や運動を心がけるなど生活改善をすれば、発症を防ぐことが可能です。

 もう1つは、検査。矢作先生は、街角の薬局で「指先採血によるHbA1c測定」を受けられる仕組みを立ち上げました。HbA1cは血液中でヘモグロビンとブドウ糖が結合した物質で、この値によって糖尿病の度合いがわかります。検査を受けられる場所は全国に約1700カ所あります。  
 話を聞きながら、がんと通じる要素が多いなあ、と思いました。  戦後、患者数が大幅に増えたこと。生活習慣の改善が予防につながること。自覚症状がないまま進行するので、早期発見・早期治療につながる検査(検診)が鍵となること……。  もし発症しても、QOL(生活の質)を保ちながら共生する相手であることは、言うまでもありません。

 日頃、私たちは、どうしても「がん」にばかり目が行ってしまいます。しかし、人間の体はトータルな存在。意識の気球をもう少し上昇させ、広い範囲でものごとを見ることの大切さを、揚げないカツオの竜田揚げとともにかみしめました。 (日本対がん協会・中村智志)

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