先日、ついに万博に行ってきました。「2025年日本国際博覧会」(大阪・夢洲)です。行くにあたって心配だったのが、がん治療からの後遺症の数々。
万博といえば、「並ぶ・歩く・暑い・人が多い」が名物みたいなイメージがあって、大丈夫かなぁと不安に感じていました(そんな人はきっと多いはず!)。
私の懸念点は、「この体力のなさで大丈夫なのか?」「足のリンパ浮腫(がん手術の後遺症)が悪化しないか?」「トイレは十分にあるのか?」などなど。今回は、そんな視点で万博を歩いてみたお話です。
ちなみに、すべてキグチ目線なのであしからず。
一度は行ってみる価値あり
実は、私は万博にそこまで興味があったわけではなかったのだけど、試しに行ってみたらなかなかナイスでした。いち早く訪れた友人たちが声をそろえて「一度は行ってみる価値あり」と言っていて、確かにそのとおりだったと思います。
万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。空間を贅沢に使っていて、至るところに木々が植えられ、野に咲くような花も咲いていました。木や竹でできたベンチがあり、洗練されているけれど落ち着いていて、「緑豊かで理想的な未来」を体現しているかのようでした。
私が万博のTo Doに設定していたのはかなりシンプル。
「会場がどんな様子か見る」「パビリオンは2つくらい入れたらいい(待ち時間が30分以内のもの)」「よく知らない国のご飯を食べる」「大屋根リングにのぼる」くらいで、体に負担がありそうならさっさと出ようと思っていました(でも、ついがんばって歩き回ってしまうのだけど)。
入場〜会場の移動手段
リサーチでは「朝イチは入場まで数時間待ち & 東ゲートはかなり混雑する」と聞いていたため、平日の15時くらいにゆっくり来て西ゲートから入場。待ち時間はゼロでした(この時間なら東ゲートも空いているかもしれませんが)。
ただし最寄り駅から西ゲートまではバス。私は桜島駅から乗ることにしたのですが、バスに乗るまでと降りてから、意外と歩くのが難点でした。
そして、会場はとにかく広い! 東京ドーム約33個分、東京ディズニーランド約3個分という広大さ。会場の中心をぐるっと囲む大型木造建築「大屋根リング」は一周約2km。何もかもがダイナミックです。
会場内での移動手段は、徒歩、シャトルバス「eMover」、「パーソナルモビリティ」という一人乗りのスクーター的なもの。パーソナルモビリティは数に限りがあるし、ひとまず歩ける私としては何となく借りづらい(そしてeMoverは存在を忘れていた!)。
「自分で歩けるけど健康な人ほど体の状態がよくなく、高齢ではないけど体力は見た目ほどない」という、どっちつかずの状態って、意外と助けを求めづらいように思います(これも結構多くのがん経験者がそうだと思う)。
快適に万博散策するためのポイント
そのため自分の身体と相談して休憩したり、途中で切り上げたり、調整しながら楽しむわけですが、身体の声を見逃すのも「あるある」ではないでしょうか。
熱中症予防のために「のどが渇く前に水を飲むべし」と言われてもなかなかできないのと同じく、気づいたときには限界ギリギリになってしまうこともあるかもしれません。
私は何やかんや1日で24,000歩も歩いてしまって、足が爆発寸前になっていました。
そんなわけで私なりに考えた、体力に不安がある人が少しでも快適に万博を歩くためのポイントがこちら。
(1)マップを手に入れてプランを立てる
紙の公式マップは有料(200円)で販売していました。販売場所は、東ゲートや西ゲートを入ったあたりの案内所。全体像を把握してプランを立て、効率よく歩きたいものです。
マップは公式サイトからダウンロードもできますが、有料マップは大きくて見やすい! ダウンロード版にはバリアフリーマップもあります。
(2)アプリもダウンロード
紙のマップに加えて、アプリもダウンロード。自分が会場のどこにいるかリアルタイムに分かり、パビリオンによっては「只今の待ち時間○○分」の表示があって参考になります。
(3)どこでご飯を食べるか計画しておく
万博の楽しみのひとつが、世界各国の食。パビリオンを見学せず、レストランのみの利用ができるところも多くあります。ただ、人気のレストランはやはり待つ場合も……。予約できるところもあるようです。
何の計画もしていなかったキグチは空腹に耐えきれず、たまたま目の前に現れたアフリカ料理のフードコートに入りました。迫力ある打楽器の生演奏があって、結果的にいい体験ができました(笑)。
(4)夕方以降は虫除けがほしい
体力と関係ない話ですが、緑豊かなゆえに夕方は虫が飛び回ります。特に大屋根リングの上。
(5)帰りの体力を残しておきたい
会場内をたくさん歩く想定はできても、帰りの移動に必要な体力は忘れがち(というか、忘れていた)。閉場近くになると混雑していて時間もかかるうえ、交通機関では座れないかもしれません。
でも夜のライトアップやイルミネーションは見どころの一つだし、早々に引き上げるかどうかは悩みどころ(ちなみに西ゲートのバスは、予約していると優先的に乗れるようです。それでも並んでいましたが)。
トイレ、休憩場所、水分補給
続いて、不安になりそうなポイントについてはこちら。
(1)トイレ
数多く設置されていて、安心感がありました。なんと、大屋根リングの上にも5カ所あります。床のところどころに「トイレまで○○メートル」と表示があってホッとできました。
(2)休憩場所
ベンチはそれなりにあり、大屋根リングの下なら日陰で休めます。中心部には「静けさの森」という木々の生い茂る空間も。緑があるとホッとできます。
私の見た限りですが、西ゲートの西側「フューチャーライフゾーン」は比較的人が少なく、落ち着いて休めました。大屋根リングの上の芝生に座ることもできますが、屋根がないので夏場は現実的ではなさそう。
(3)水分補給
自動販売機がそこかしこにあり、そのほかに給水所があります。空のボトルがあれば無料で水をつぐことができます。ただし常温。
万博以外にもいろいろある
私は「午後から1日だけ」と決めていたのですが、時間とお金が許すならば近隣に泊まって、疲れないように短時間ずつ、数日かけて巡る方が楽しめそうに思いました。
それに万博開場の周りにはさまざまな観光スポットもあります。ユニバーサルスタジオジャパンは最寄りだし、海遊館(水族館)の観覧車からは大阪湾を一望できます。もちろんお好み焼きなどの大阪グルメも楽しみたいところです。
7〜8月は相当に混雑するだろうし、とにかく暑さで体力を奪われる時期でもあります。無理なく万博や大阪散策を楽しんでみてください!
◇
万博はたった半年間(2025年4月13日〜10月13日)の開催ながら、状況を見ながら運営の仕方を改善しているようです。たとえばパーソナルモビリティの一人あたりの利用時間を変えたり、入場口の混雑を解消するアイデアを導入したり。これからもいろいろと改善が加えられていくことでしょう。

木口マリ 「がんフォト*がんストーリー」代表
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。