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心がとてもつらいとき

掲載日:2019年10月7日 9時45分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも少なくありません。日本対がん協会のがん相談ホットラインにはたくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。シリーズ「がん相談ホットラインより」で相談員の思いをお届けしています。
  

  「こうやって電話してしまうのは自分が弱いからです。自分は弱くて情けないです……」

 すすり泣く声につらさがにじみ出ていました。  がんと診断されてから、笑えなくなったといいます。

  偶然、通りかかった公園で行われていたリレー・フォー・ライフ(RFL)。生き生きとした表情で歩き続けるがん患者さんの姿を見て、「弱いのは自分だけ。ここにいるのは特別な患者さん。自分とは違って強い人たち」。そう思ったそうです。

  別の相談者は、病院のサロンで見かけた患者さんの明るい笑顔に「あー、あんな風に笑えない自分は弱い人間だ……」と通院のたびに自分が情けなくなって落ち込むといいます。

  治療の副作用で体調がすぐれず、会社を退職。元気に働く同年代の友人と会っても引け目を感じるようになり、楽しいはずの時間がつらい時間に変わってしまった。

  自分一人違う世界にいるような感覚で、喪失感や焦燥感にかられる。自分はダメな人間だ、そんな風にも感じて孤独な気持ちを抱えていたそうです。


 これまで、こうした声をたくさん聞いてきました。  でも、RFLや病院で見かけた患者さんも、最初から笑顔でいられたわけではありません。

 「今は色々と楽しめるようになったけれど、一時期は暗闇の中にいるようで、ただただ不安で、明日が来ないんじゃないか……そう思って毎日泣いていました」という相談者もいます。

  心がとてもつらいとき、自分を責めてしまったり、自分を肯定できなくなったりすることがよくあります。しかし、決してダメな人間でも、弱い人間でもありません。

  誰かにSOSを発信できること、自分が弱いと思っていることを話せることは強さです。  ホットラインに電話をくださったことだってそうです。  相談することは、何とかしたい、何とかしようというとてもポジティブな行動なのです。

  元々、患者さんは自分自身で大変なことを乗り越えていく力を持っているものです。病気になって一時的にその力を上手に使えなくなることもあります。そういうときは、身近な人や専門家の力をぜひ借りてほしいと思います。


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