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[イベント報告]がんアドボケートセミナーを開催しました

掲載日:2017年7月7日 16時00分

がんアドボケートセミナーを開催しました

 日本対がん協会などは7月2日、「がんアドボケートセミナー ~最高の医療を引き出すための患者力とは~」を東京の慶応義塾大学病院で開催しました。  参加者は47名。当日は6つのグループに分かれ、米国きってのがんセンター「MDアンダーソンがんセンター」の上野直人教授と一緒に、どのように患者力をアップさせるかについて、終日議論を交わしました。
 参加した47名の方々は、がんサバイバーだけでなく、医療従事者やケアギバー(家族や大切な方ががんサバイバーで、一緒にがんに向き合っている方)など様々。勤務先が病院のカフェで「お客様としていらっしゃったがん患者さんと、よりよいコミュニケーションを取るためにこのセミナーに参加しました」という女性や、家族にがん患者がいて「がんは身近な病気だが、家族であっても寄り添い方がわからないことも多く、参加しました」という男性など、動機も様々でした。

自分のビジョンを持つことが大切

 午前中のセッション「My Oncology Dream ~Dream Catcherを目指して~」(Oncology=オンコロジーは日本語で「腫瘍学」)では、上野直人教授が講演をしました。  「がん医療の質をさらに高めていくには『患者中心のがんチーム医療』を確立していくことが不可欠で『患者力』をつけなければチーム医療の中心に来ることができません。」
 では、「患者力」をつけていくためには何が必要なのでしょうか。 上野教授は、自分のビジョン=「理想の未来像」を持つことが大切だと説きます。上野教授はまず自分と同じ夢を持つ仲間や、また共感できる夢を持つ仲間を見つけることが大切だと強調しました。その後、参加者はそれぞれ、自分の「My Oncology Dream」を発表しました。 「正確な情報をがん患者と医師に伝える」(薬事コンサルタント・男性) 「患者さんと病院・医療者との架け橋となり、納得した治療を受けられる環境をつくる」(看護師・女性) 「がん患者さんが正しい情報を得て、自信が納得し、最適な治療を受けられるようサポートする」(会社員・男性)  ちなみにセミナーのタイトルにある「がんアドボケート(advocate)」は、医療の向上や患者が生きやすい社会づくりに繋がる提言といった意味です。  このように、自分の活動を通して「がん医療の向上に貢献したい」という「My Oncology Dream」が数多く発表されました。

「正しい情報」にたどり着くために

 がんと診断されたとき、だれもが必死に情報を求めることと思います。その時、頼りにするのは担当医の意見でしょうか、書籍でしょうか、あるいはインターネット上の情報でしょうか。午後のセッションで講演した慶応大学の今村知世先生(臨床薬剤学)によると、がんと診断される前と後では、がんに関する情報の入手経路が異なるそうです。診断前は、「1.テレビ 2.新聞 3.インターネット」の順だったのが、診断後では、「1.インターネット 2.医療従事者 3.医療書籍」と大きく変化します。
 ところが、インターネット上の情報は玉石混淆です。検索で上位に出てきた情報が広告(PR)記事で怪しい情報であることもあります。 今村先生は、ダイエットの例を挙げて説明しました。ダイエット開始前・終了後の写真と一緒に「3か月で20Kg痩せました!」というフレーズが載っているような広告を、一度は目にしたことがあると思います。 このような広告は要注意です。第一にサンプル例が写真の女性1人であること。1人の成功例が誰にでもあてはまるとは限りません。第二にこの女性が本当にこの広告のダイエットだけを行なったのかわからないこと。食事改善や運動などにも取り組んだかもしれません。実はこの広告にはエビデンスがないのです。  それでは、本当に信用していい情報は、どうやって見分けたらよいのでしょうか。  今村先生は最低限のチェックポイントをまとめました。
・インターネット検索したときに「広告」であるか ・その情報を書いたのは誰でどのような資格を持つ人なのか ・参考文献や引用文献が明記されているか ・ウェブサイトの所有者はだれか ・更新日はいつか
 これらを確認したうえで、情報の質を見極め、内容を評価する必要があります。そのためには「主治医や医療者・家族と情報を共有する」ということが何より大切です。それが難しい場合は、全国に400あるがん診療拠点病院の「がん相談支援センター」に相談してみてはいかがでしょうか。「がん相談支援センター」はその病院に通院していない方でも相談できます。

がんになっても人生を楽しむ

 生涯に2人に1人ががんになるともいわれます。現在の日本人の平均寿命は男性80歳、女性87歳、数十年前と比べると飛躍的に伸びています。  午後に講演した順天堂大学の佐瀬一洋教授(臨床薬理学)はこう話します。 「医学の進歩の『結果』として寿命が伸び、その『結果』としてがんの重要性が高まりました。医学への敬意と医療への感謝を忘れてはいけません。そして臨床研究は希望にあふれたものなのです。」  セミナー後半のプログラム、ディスカッションの場面では活発に意見が交わされ、グループごとに発表しました。「がん医療」をよりよくしていくためのユニークなアイデアがたくさん出されました。  あるグループでは「『患者力チェック表』を作って拠点病院などに配布してはどうだろうか」というアイデアが出されました。 「聞きたいことは聞けましたか?」 「これから使う抗がん剤についての冊子はもらいましたか?」 「信頼のおける専門の相談者(先)はありますか」 「正しい情報で納得している治療ですか」 などの項目が、箇条書きになっています。患者はこの表があれば、自分が必要な情報を得られているか確認できます。
                  「自分の身体は自分で守ることが前提。医師任せにせず、自分の状況を把握して医療者に伝えること」 「担当医に聞く時間がないときは、看護師や病院スタッフなどに自ら働きかける『社交力』が大切」 など、よりよい医療を受けるための具体的な提言も出されました。  また別のグループは、がんになっても人生を楽しむためのアイデアを発表しました。例えば「がんサバイバーの明日を考える委員会」を立ち上げ、家族や仕事のこと、出会いや結婚のことなどを自由に話せる会にするのです。それは、患者会とは一味違った「一歩を踏み出す会」になることでしょう。 午後のプログラムの最後は参加者全員で記念撮影を行ないました。「ハンドインハンド」の掛け声と一緒に、参加者みんなで手を繋ぎ、和やかな雰囲気で閉会しました。  がんサバイバー・クラブでは今後もこのようなセミナーを開催します。みなさんと「一緒に」がん医療をよりよくし、またサバイバーが充実した毎日を送れる社会の実現を目指します。(記事:大石しおり)
参考URL 「My Oncology Dream がん医療の夢を実現しよう」http://www.oncology-dreamteam.org/ 「がんアドボケートセミナー(ドリームキャッチャー養成講座第7期募集)~最高の医療を引き出すための患者力とは~」(Peatexより)http://mod2017.peatix.com/
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