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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第23回 焼き鮭は日本人のDNAに美味しい記憶として刻まれている?

掲載日:2023年10月10日 13時15分

 こんにちは。クリコです。

 今年は暖秋で季節の進みがゆっくりですが、あとひと月もすれば立冬です。暮れともなれば、お節の材料を買い求める人々で賑わう上野”アメ横”の様子がテレビ放映されます。海産物問屋の店頭に吊るされる新巻鮭は年末の風物詩ですが、銀鱗の輝きと大きく開いた口が迫力満点で、こんなに恐ろし気なものを買って喜ぶ大人を子供心に不思議に思ったものでした。

 その鮭の一生は過酷です。冬に生まれ稚魚になるまでを川で過ごし、春になると一斉に海を目指します。大きく育つと、卵を産むために生まれ故郷の川に帰り、産卵を終えてその生涯を閉じます。激流に抗い傷つきながらも力強く遡上する姿は感動的ですらあります。


●日本人に生まれてよかった!


 強面な外見からは想像できないのが、オレンジがかったピンク色の身の美しさです。サーモンピンクという色の表記の由来となっていますが、なんとも食欲をそそる色ではありませんか。
 焼いてよし、お茶漬けによし、おにぎりの具によし、粕汁にと、鮭は日本の食卓に欠かせない食材です。
 人生の最後に食べたいものを聞かれたら、私は迷わず焼き鮭と答えます。炊きたての白いごはんに甘塩の焼き鮭。適度な脂と旨味が舌の上に広がり、パリッと焼いた皮も香ばしく、想像するだけで喉が鳴ります。
 缶詰「あけぼのさけ」で知られるマルハニチロ株式会社が行なった「魚食に関する調査2020」で1,000人を対象に好きな魚を聞いたところ、鮭が60.0%で堂々の1位でした。納得の結果です。

 30年ほど前、夫とミラノ、パルマ、モデナ、ボローニャ、ジェノヴァと秋の北イタリアを列車で巡る旅をしました。
 前世はイタリア人だったに違いないと思うほどイタリア料理に心酔していた私は、滞在中はイタリア料理以外口にしないと決めていました。文句も言わず付き合ってくれた夫に感謝です。
 本場の郷土料理はどれも感動的な美味しさだったのですが、最終日にとうとうミラノの和食居酒屋に駆け込むことに。「いらしませー」とカタコトの日本語で迎えられ、真っ先に注文したのが鮭の付け焼でした。疲れた胃がみるみる元気を取り戻し、焼き鮭は間違いなく日本人のDNAに組み込まれていると確信した旅でした。

●サーモンも登場で種類も個性もいろいろ


 鮭といっても種類はいろいろです。日本で鮭といえば、国内で水揚げされた天然物の白鮭を指しますが、採れる時期によって呼び名が変わります。
 秋冬の産卵期に水揚げされる「秋鮭」は、卵に栄養を使うので脂は少なくさっぱりとした味わいが特徴。「時鮭」は、春から初夏にかけて海を回遊しているところを水揚げされます。卵に栄養が取られる前なので、脂ノリがよく身も柔らかです。
 「紅鮭」は、海外で採れた天然物で冷凍が流通しています。身がしまって味が濃く、程よい脂ノリで塩鮭、おにぎりやお茶漬けの具、フレークなど用途も様々です。
 「銀鮭」は、日本と海外の養殖物で最も脂ノリがよく、身が柔らかくふっくらとしています。

 80年代半ばになると、海外の養殖物のサーモンが輸入され始めます。有名フレンチレストランで、ノルウェー産のスモークサーモンのオープンサンドにハマったのもこの頃でした。今では、キングサーモン、トラウトサーモン、アトランティックサーモンなども身近な食材になり、刺身、ムニエル、フライ、ステーキなど様々な料理を楽しむことができ、鮭好きとしては嬉しい限りです。

 いよいよ秋本番!秋鮭が美味しい季節です。
 今回は本コラム初登場の「鮭のすり身」を使った「鮭の香草パン粉焼き」の作り方をご紹介します。
 是非、ご家族皆様でお楽しみください。
 

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 「鮭すり身」


【出来上がり 約100g】

材料名 分量
1 生鮭(皮と小骨を除く) 60g
2 はんぺん 25g
3 小さじ1
4 マヨネーズ 小さじ1
5 オイスターソース 小さじ1/3
6 麩(ミルなどで粉砕) 5g

【作り方】

  1. 鮭は粗く刻む。
  2. はんぺんは2cm角に切り、熱湯で2分茹で、キッチンペーパーに取り冷ます。
  3. 麩以外の材料を全てフードプロセッサにかけ滑らかなペースト状にし、最後に麩を加えよく撹拌する。
  4. クッキングペーパーに3を取り、ヘラで厚さ1.5cmくらいの切り身の形に成形する。
  5. 表面にラップを貼り蒸し器で4分蒸し、冷ます。
    *すぐに使わない場合は冷凍保存する。
 

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「鮭すり身の香草パン粉焼き・タルタルソース添え」


【出来上がり 約100g】

材料名 分量
1 鮭すり身 約100g
2 香草パン粉
パン粉 大さじ1
パルメザンチーズ 大さじ1
パセリみじん切り 大さじ1
ニンニクみじん切り 2g
少々
胡椒 少々
3 オリーブ油 適量
4 バッター液
小麦粉 大さじ1
大さじ1
マヨネーズ 小さじ1
5 タルタルソース
固ゆで卵みじん切り 1個分
マヨネーズ 30g
玉ねぎみじん切り 10g
ピクルスみじん切り 10g
パセリみじん切り 3g
塩、胡椒 少々

【作り方】

  1. 鮭すり身を準備し、切り身の形に成形加熱する。
  2. タルタルソースの材料をよく混ぜる。
  3. 香草パン粉の材料とバッター液の材料をそれぞれよく混ぜておく。
  4. 1にバッター液、香草パン粉の順につける。
  5. フライパンにオリーブ油を高さ5mmくらいまで入れ熱し、4の両面をさっと揚げ焼きする。
  6. 皿に盛り2を添える。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ) 自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。 食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。 【Webサイト】 「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」 https://curiko-kaigo-gohan.com/ 【主な著書】 「希望のごはん」(日経 BP社) 「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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