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【開催報告】がんアドボケートセミナー(第13期 ドリームキャッチャー養成講座)~最高の医療を引き出すための患者力とは~

掲載日:2023年11月24日 12時00分

 10月22日(日)さわやかな秋晴れ。東京・築地の国立がん研究センターにて、「がんアドボケートセミナー(第13期ドリームキャッチャー養成講座)~最高の医療を引き出すための患者力とは~」を開催しました。がん医療に対する夢を語り合い、育み、共有し、日本のがん医療をより良くしようというオンコロジードリームチーム・プロジェクト( Oncology Dream Team Project)の一環で、日本対がん協会と一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトが共催。新型コロナウィルス感染症の5類移行で4年ぶりの対面形式となり、約30人の受講生が日本全国から集まりました。

 ハワイ大学がんセンター 上野直人先生をオーガナイザー(まとめ役)に、がん患者支援に携わる医療者や、過去に本セミナーを受講しその後患者会や支援活動を行っている修了生たちも、講師・ファシリテーターとして協力しました。

 



さまざまな立場の人たちが意見交換することの意義

 セミナー冒頭、日本対がん協会の垣添忠生会長は「がんは医療問題であるとともに経済問題、社会問題でもあります。がん対策基本法の成立以降、がん患者をめぐる情勢は大きく良い方向へ変わってきたがまだまだ足りないことがあります。その実現のために皆さんがやろうとしている活動は非常に大きな意味を持つものです。また、最終的に政策にがん患者さんやご家族の声が反映されれば素晴らしい。」と開会のあいさつを述べました。

3本の事前動画での学びを振り返る



 

 受講生は「事前課題」の3本の動画を視聴してセミナーに臨みました。動画の内容に対する質問や感想が多く寄せられ、それらを元にディスカッションを行いました。上野先生は「ミッションとビジョンがブレるのは当然。ただ、よくないのは、例えば情報をいっぱい集めて方向性を一か月ごとに変えるようになると周りの人たちが疲弊してしまう」と回答したうえで、「やりたいことは果たして理想的な未来図を描いているのか。それは単なるゴールなのか。見極める必要がある。」と指摘しました。


 「科学的根拠に基づく医療(EBM)とメディカルリテラシー」の動画講義を担当した佐瀬一洋先生(順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学 教授)は、「ネット上には玉石混合でありとあらゆる情報があふれかえっている。情報の出し手がなぜこの情報を出しているのかというところを考えられれるようになると、どんな情報であれ判断がしやすくなると思います。」と総括しました。


 最も多くの質問と意見が届いたのは、医系技官として第3期がん対策推進基本計画に携わった岐阜県健康福祉部長 丹藤昌治さんでした。「行政は大きな船みたいなものでなかなか舵が切れないが、いったん舵をきるとそれで国全体が動いていく」、「ひょんなことで政策が動き出すことが じつはかなりあります。そういう意味では何らかの準備は必要で、いざ世の中が変わっていく時に自分が何をしてきたか何ができるかということが大事。」とお話しされました。


医療者として、患者として「わたしたちができること」

 次に、がん患者支援にそれぞれの立場で関わる両名からの講義。「患者さんの普通の生活を支えたい」という東京大学医学附属病院の分田貴子先生。病院のがん相談支援センターの面談で5分の2が外見変化に関する相談が占めることや、治療に伴う外見の変化をウィッグやメイクでカバーし自分らしい生活ができるようにするためのアピアランスケアとその事例を紹介し、医療者と患者の意識のギャップを埋める大切さを伝えました。

 乳がん患者支援団体 メンタル・スパ 代表の大友明子さんの講義は「私たちの活動は 患者さんに限ることではなく、社会にコレクティブインパクトを与える最初の一歩」という力強いメッセージからはじまり、「多くの方がアドボケート活動に取り組む中、同じ方法にとらわれずに別なアプローチを考えてほしい」と述べました。そのコツとして「何が問題なのかを見つける」「自分の得意分野を絡める」「誰のために、何のためにと常に自問自答することが大切」とアドバイス。一生懸命メモを取る受講生の姿が印象的な時間でした。


濃厚な時間!3時間近くのグループワーク!

 午後は「私たちが取り組むべきこと・アイデアの創出と立案」をテーマに、3時間近くにわたってグループワークを行い、受講生は「情報(がんに関する正しい情報の取得や理解、利用について考える)」、「啓発(学校や職場などの生活圏に応じたがんの正しい知識の普及と理解について考える)」、「社会生活(がん治療をしながらでも楽しめたり、就労に関してなど自分らしく生きる社会生活について考える)」、「患者活動(自らの体験をもとに、患者として出来る活動について考える)」、「医療(がん治療のこれからや、医療の選択等、患者目線の医療について考える)」の5つのテーマ別のグループに分かれて意見交換しました。


 グループワークには、Japan Team Oncology Program(J-TOP)から中村希恵看護師(写真上段左)と坂東裕子先生(筑波大学 乳腺・甲状腺・内分泌外科 准教授・写真上段真ん中)、そして、セミナー修了生の一般社団法人食道がんサバイバーズシェアリングス代表理事の髙木健二郎さん(写真下段左)と、一般社団法人がんと働く応援団 共同代表理事の吉田ゆりさん(写真下段右)、がそれぞれ関係の深いテーマのグループにファシリテーターとして加わりました。







 その後、各グループが話し合った内容や模擬プランをを発表しました。


 上野先生は総括として「一極集中化のアドボケート活動をするといきづまる。これからはネットワークをつくって、いろんな団体や人をどんどん取り込んでいくことで成功を生む可能性が高まることに、今日気づいていただければと思います。」 と締めくくりました。


 受講生からは「いろいろな活動をしている方々や立場の方とお話しできてよかった」「皆さんのエネルギーが刺激になりました」などの声が寄せられ、終会後のアンケート(回答率81.4%)で「本セミナーは今後のあなたの活動を考える際に活力を得られるものでしたか?」という問いに対して、「非常に活力を得られた(54.55%)」「活力を得られた(45.45%)」の両回答で100%という評価でした。

 当日の様子を収めたショート動画も公開しました。この開催報告記事と動画が、セミナー参加者さんにとっては振り返りとして、ご参加できなかった方にとってもご自身の支援活動についての何らかのヒントになることがあれば幸いです。
 

がんアドボケートセミナー(第13期ドリームキャッチャー養成講座)内容


【プログラム】

■ 事前動画プロブラム
1.「がん医療のマイ・ドリームを考えよう」上野直人先生
2.「科学的根拠に基づく医療(EBM)とメディカルリテラシー」佐瀬一洋先生
3.「日本のがん対策を知り、アドボケート活動を考える(第4期がん対策推進基本計画を含む)」丹藤昌治さん
4.「わたしたちのマイ・オンコロジー・ドリーム」

■ 当日プロブラム
・アイスブレイク
・事前動画のふりかえり(質疑応答)
・「チーム医療に参加するために必要な(患者)力」分田貴子先生
・「わたしたちができること」大友明子さん
・グループワーク
・発表・質疑応答
・総括・まとめ

【協力】

乳がん患者支援団体メンタル・スパ
一般社団法人食道がんサバイバーズシェアリングス
一般社団法人がんと働く応援団
Japan Team Oncology Program(J-TOP)
がんフォト*がんストーリー
※順不同


【後援】

公益社団法人日本臨床腫瘍学会

【共催】

一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクト

公益財団法人日本対がん協会 


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