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シリーズがんと就労⑥/仕事と闘病の両立への調整役に

掲載日:2018年1月11日 16時09分

シリーズがんと就労⑥ 仕事と闘病の両立への調整役に

アフラック健康管理室室長・産業医 金室 麗子さん

 50人以上が働く事業所に必ず1人はいる産業医は、健康診断など労働者の健康管理を行う。がんと闘う社員にとって頼もしい相談相手にもなる。シリーズ6回目は、アフラック健康管理室長の金室麗子さんにお話を聞いた。

—産業医は、治療はしないとか。

 そうです。主治医のように治療や薬の処方などはしません。労働環境の改善を図るとか、病気の社員について営業が大変なら内勤に変えた方がいいと会社に伝えるなど、様々に調整するのが産業医の役割、主な仕事です。

—普段から社員の健康に気をつけているわけですね。

 健康診断は「オールA」でも少し太り気味の人に予防的な話をしますし、何十時間も残業した社員との面談もあります。長時間労働者には産業医が面接指導するよう厚労省が勧めた(2008年4月)ので、対象者全員と会いました。ひと月100人ほどいたこともありましたけど、いまはゼロに近いです。

—なるほど。健康管理室とか産業医は社員にとって身近な存在ですね。

 我が社では「保健室の先生」という感じだと言われます。広報も積極的にPRして新入社員の研修でも紹介される。何かあれば気軽に健康管理室に来ていただける。社員には「病院と違ってハードルが全くない」らしいです。

—学校の保健室を思い出します。ところで、がん保険の会社だけに社員もがんについては詳しいでしょうね。

 意外にそれほどでなく、「がん検診の内容を全て知っている」と答えたのは社員の55%ということもありました。今は90%近くに上がり、がん検診の受診率も平均90%を超えています。がんは他人事なんかではなく、自分の問題であるという「自分事化」が大事です。それがやっと定着してきました。

—「自分事化」はいい言葉ですね。

 私たちはよく使います。2人に1人はがんにかかる時代ですから他人事では済まない。検診を受けない理由を「忙しくて時間がない」「結果を知るのがこわい」と言うのは、がん検診を自分事化していない何よりの証拠です。
 うちには治療に専念するため最大40日の有給休暇や60日のストック休暇、最大12か月の傷病欠勤と療養休職などがありますし、治療の変化に合わせて働き方を変えられる短時間勤務やシフト勤務、最近はフレックス制度、在宅勤務もできた。自分で治療と仕事の両立プランを作って「これで大丈夫ですか」と聞いてくる社員もいます。

—手厚い支援体制ですね。利用している方は何人ぐらいですか。

 健康保険のレセプトデータでは、がんの就労者は6、70人。3分の2が女性で、乳がんと子宮がんが多いですね。

—もはや、がんが見つかったから会社を辞めるという人はいませんか。

 断言はできませんが、辞めるのを最優先に考える人はまずいません。
 医療技術の発達で、がん治療も様変わりし、働き方も色々と出てきました。がんになっても、次に取るべき行動が分かってきたのが大きいですね。

—がんが見つかると、産業医に相談するのですか。

 がんと分かった社員は、まず上司に話すでしょうね。上司にも不安があれば「健康管理室へ」と回してくる。本人も気が動転するのか話が噛み合わない。少しずつ話を聞くうちに、事情を説明できるようになれば、本人の意向を活かした治療や働き方を聞き取って、上司や人事部とも詰めていきます。上司を中心に産業医と人事部が三位一体となって取り組むわけです。

—御社では数年前、入社が内定した二十代の男性が脳腫瘍と分かったことがあったそうですね。

 あの時はさすがにびっくりして、社内もあたふたしました。もちろん前例もありません。がん保険の会社として対応が問われかねない。人事部長が主治医を訪ねて詳しい病状を聞いた。本当に働けるのか確かめて、受け入れ体制を検討した結果、「大丈夫!うちで働いてもらおう」となったのです。配属先には人事部や私から説明して、受け入れ側の不安も減らすようにしました。
 今ですか。社内結婚してお子さんもできて、元気に活躍中です。

—すごい。彼の存在は社員の皆さんも勇気付けたに違いありませんね。

 ほかにも、50代の男性社員が、肺がんとすい臓がんからのサバイバーとして講演会や研修会で、がん治療の実態や経済的不安などを話しています。
 子育て中に乳がんになった女性社員は、肺がんの母親を介護休暇制度で看取りました。職場の人間関係と周囲の人たちのサポートで切り抜けたのです。
 これからは、社内だけでなく、社外の「がん就労支援」へのお手伝いもしていきたいですね。
(聞き手 ジャーナリスト 清水弟)

アフラック健康管理室室長・産業医 金室 麗子さん
アフラック(Aflac:American Family Life Assurance Company of Columbus)1974年創業(米国では1955年)。がん保険・医療保険中心の生命保険業。社員約4700人で平均年齢38.4歳。産業医は4人。ブランドコンセプトは「『生きる』を創る」で、1974年に日本初の「がん保険」、1985年に世界初の「痴ほう介護保険」を発売。

[対がん協会報1月号より]

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