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第4回 意外と知らない、現代のがん事情――
「ドラマのがん告知は時代遅れ!?」 木口マリの『がんのココロ』

掲載日:2018年5月9日 17時17分

意外と知らない、現代のがん事情――「ドラマのがん告知は時代遅れ!?」

 がんというのは、往々に「刷り込まれたイメージ」だけが一人歩きしているもの。がんがこの世にあることは誰もが知っているのに、当事者になって初めて「そうだったの!?」と思うことは、山のようにあります。

 いつの時代の話か分からないような古~いイメージが大多数の人の脳に書き込まれたまま、アップデートされていないといったところでしょうか。多くのがん経験者のみなさんも同様に感じているのではないかと思います。

 そんな、がん経験者にとっては「あるある」だけど、これまでがんに関わりのなかった人や、がんになって間もない人にはちょっとオドロキな事実についてお話します。

告知は基本的に患者本人にする

「がんですか?」「いいえ、胃潰瘍です」
 という、ドラマのシーン。現代の医療では、基本的にそんなことはしません。がんならがんと、バッチリ患者本人に伝えます。

 ただし、ここでひとつマンガチックなことが起こってくるのも事実。それは、「がんです」「ガーン!」という事態です。実際、告知を受けたときに頭を殴られたような感覚があったり、目の前が真っ白になったりという話をがん仲間からよく聞きます。

 私のときも、やはり直接告知を受けました。しかし、病院から「すぐに来てください」と電話があったために、ある程度の覚悟をして行くことができたという。
 電話では「検査結果が出たので」としか言われませんでしたが、「悪い結果に違いない」と考えられるというワンクッションがありました。最近は、そのような配慮をしてくれる病院もあるようです。

 ところで、この一昔前の告知法「周りの人は知っているけど、本人は知らない」などというのは、患者をバカにしているとずっと思っていました。中には知らずにいたい人もいるかもしれませんが、私の場合は、たとえどんなに過酷な話だとしても、どうして、「この人は耐えられない」などと勝手に決めるのだろうと思ってしまいます。

 しかも、家族の同意があるとはいえ、知らないうちに自分の体に強烈な治療が施されることになっていたわけです。そう考えると、少し前までそれが許されていたことの方がオドロキかもしれません。

がんでも予想外に元気

 がんの治療と言って、まず想像するのは手術に抗がん剤に放射線……。怖い言葉がいっぱいです。できれば一生ご縁のないものでありたいと、誰もが思っていることでしょう。

 そんなイメージが強いからか、これまで私が脳裏に描いていた「がん患者」はヨレヨレのボロボロでした。
 やせ細り、顔色は悪く、髪はなく、点滴棒を引き連れて薄暗い病棟をしずしずと歩いている……というような。


毎体力は落ちたけれど、治療中も多くの
時間は”病人風”ではありませんでした

 ところがどっこい、自分がなってみたら予想外に元気でした。ボウズにはなったし、多少やせて、ほっぺはバラ色ではなかったかもしれませんが、結構普通に日々を送っていました。お見舞いに来てくれた人がほぼ全員「ずいぶん元気そうだね」と言うほどに。

 もちろん術後すぐや抗がん剤の副作用が強く出る1〜2日間は、微動だにせず壁の一点を見続ける、なんてこともありました。でも、だいたいにおいては、言わなければがん患者だと分からないくらいに見えただろうし、気持ちも結構元気だったと思います。

 当然ながら、人によってはドラマのシーンほどに大変な状況のこともあります。しかし、これまでと同じかそれ以上に仕事をしたり、遊んだり、ボランティア活動をしたりしているがん患者さんが、私の周りには予想外にたくさんいます。その中には、治療をしつつ、入退院をしつつ、という方も多い。それも、ひとつの重要な事実と言えるでしょう。

若い人だってがんになる

 現在、がんにかかる人が増えています。「生涯に2人に1人はがんになる」とも言われています。ところが、日本が今、そんな大変な状態にあると知りつつも、自分がなるまでは他人事。私も「ふ〜ん」としか思っていませんでした。

 それが、入院をしてみて「本当にがんって多いんだ!」と実感しました。私がいたのはがん専門の病院ではないのに、周りはがん患者だらけ。若い人もすごく多い。

 実際にデータとして見てみても、若いがん患者の多さには驚かされます。厚生労働省で出している「就労可能年齢(20〜64歳)」という点で見てみると、2013年にがんにかかった人が86.2万人いるうち、25万人が20〜64歳。実に、29%という計算になります。(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」2018年3月更新/2013年のデータより算出)

 私のがんは2013年に見つかったので、「この中の1人なのか」と、何だか妙に感慨深いような気がします。それと同時に、「同じ道を歩いていた人がこんなにいたのか」とも思いました。


病院の屋上庭園に咲くバラ。
患者さんがリラックスできるよう、
病院スタッフも様々に思案してく
れているのが現代の医療です。

 私は、がん発覚以前からの友人には「珍しい病気になった人」のように思われていますが、こうして見ると、もはやがんは本当に身近な病気だと改めて感じます。

 逆に、これだけ身近だからこそ、もしかしたら、今、隣にいる人はがんかもしれません。見た目が元気で、仕事も暮らしも健康な人と同じようにしていても、今まさにがんと闘っている人かもしれないのです。
 元気そうであっても、治療をしていればそれ相応に体がキツいこともあります。見ただけでは分からない障害が残っている人もいます。

 私は治療中に一時期だけ障害(人工肛門)を持って過ごしていました。そのときに思ったのは、「世の中には、まだまだ知らないことが本当に多いのだな」ということでした。「自分が気付いてもいない苦労はたくさんあって、その世界に生きている人がいる」ということは、心に留めておこうと思っています。

 日常でも、「車椅子じゃないのに」とか、「若いくせに」という見た目だけで判断するのではなく、「もしかしたら、今、大変な思いをしている人なのかもしれない」と、ちょっとだけでも思いやることができたらと思います。それが広がっていけば、世界はもっと心地よく、素敵になっていくかもしれません。

 今回ピックアップしたのは、「え!?」と感じたことのほんの一部。それらはだいたいにおいて、がん患者の気持ち的に結構重要な事柄ばかりです。「先に知っていれば、もう少し落ち着いていられたのに」と思うことも少なくありません。

 ドラマのがん患者も、いつもとてつもなく具合が悪そう。
確かに、「シャキシャキ歩くがん患者」なんてドラマチックではないし、そんなシーンがあったら何の話なのか分からないといえばその通りではあります。
でも事実、治療しながら活躍するがん患者も多くなっていることだし、そろそろ現実に沿った番組づくりや報道をしてもらってもいいのでは、と思います。

20代でがんが見つかった岸田徹さんが立ち上げたインターネット生番組「がんノート」に出演しました。

療養中フォトギャラリー by iPhone ©木口マリ

木口マリ

「がんフォト*がんストーリー」代表
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。

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