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地方の現実を見ること

掲載日:2018年7月17日 11時53分

 日本対がん協会会長の垣添忠生の「全国縦断 がんサバイバー支援ウォーク」は、7月6日に第8回を終えました。6月30日に岩手県の東北新幹線いわて沼宮内駅から出発して、主に国道4号を北上しながら青森県を進み、青函連絡フェリーで北海道に渡り、函館まで。
 リレー・フォー・ライフの方たちと歩いたり、途中でドローン撮影が入ったり。訪れた青森県立中央病院(青森市)でも、サバイバーや医療者のみなさんと活発な交流を展開できました。
 日々の様子は、特設サイトの一言ブログとインスタグラムにアップしています。今回のまとめレポートでは、農業や高齢化、過疎化など地方の現実を中心にお伝えします。


リレー・フォー・ライフ八戸のメンバーと(6月30日)。


農業の将来

 私は、農業の将来をとても心配しています。日本の食料自給率は、カロリーベースで4割を切っています。もし米国や中国などとの関係が悪くなり、食料の輸出を止められたら、一発でアウトです。石油と同じです(日本が太平洋戦争に突入した一因に、米国などによる石油の禁輸があったという話はよく知られています)。

 だからなのでしょう、ウォークを続けていても、農作業にはつい目が行きます。田植えや苗代の作り方、大根の収穫の様子まで。見かけたらしばらく観察しています。それから写真を撮ったり、場合によっては農家の方とお話ししたりしています。私自身、生物学への関心が高い、という側面もありますが。

 しっかり作物が育てられている農地は見ていて楽しいのですが、残念なことに、いわゆる耕作放棄地も目につきます。
 もとは立派な田んぼだったらしい土地が、草ぼうぼうになっている。何も栽培されていないビニールハウスのビニールが破れて雑草が突き抜けている……。
 後継者不足なのか、減反なのか。理由はさまざまでしょう。数年前に四国八十八ケ所めぐりをした頃から気になっています。全国各地の耕作放棄地を合わせると、富山県に匹敵する広さになるそうです。
 各水田を結ぶ水路の管理ひとつとっても、昔は村総出で行ったものですが、最近は人手不足だそうです。

 遠からず、海外の人の力を借りないと、日本の農業は立ち行かなくなるでしょう。日本の人口は減少傾向にありますが、世界の人口は増えています。多民族国家として生きる態勢を整えていく時期にさしかかっているように思えます。農業の将来に対する心配は、こんなところにもつながります。


大根の収穫風景。抜くものだと思っていました(7月2日)。

元気なお年寄りなのに……

 農家の現状と裏腹にあるのが、空き地や売地です。国道4号沿いでも、空き地や売地の看板が目立ちます。家の主(お年寄り)が亡くなる→都会へ出ている子どもたちは戻らない→誰も住まないので売り出すほかはない。
 こうしたスパイラルがあちこちで起こっているのではないでしょうか。

 実際、街中でも若い人は多くありません。
 今回も、青森県のある市内で、バスから降りた30人ぐらいのお年寄りたちが高齢者施設に入っていくのに出くわしました。写真を撮ろうと思ったのですが、準備をしているうちに建物に消えていきました。

 逆に言えば、それぐらい速く歩けるほどお元気なのです。ならば、もっと「老人の力」を活用する場が社会にあってもいいのではないか。もし施設内で歌を歌ったり軽い体操をしたりしているだけだとすれば、何とも非生産的ではないでしょうか。そう思いました。

束の間のフランス

 一方で、泊まった宿の朝食バイキングでは、バスツアーで来られたお年寄りたちと一緒になりました。
 言葉からすると、東北の人たちの集まりのようです。膝や腰が曲がっている人も少なくありません。この方たちが若いころは今ほど農業の機械化も進んでおらず、栄養状態も必ずしもよくない中で、体を酷使してこられたのでしょう。

 青森では、「葉たばこ生産量全国3位の青森県で、葉たばこ農家が10年前に比べて大幅に減少した」というテレビのニュースを見ました。健康への影響を考えれば、たばこの生産量が減ることは喜ばしい話ですが、生産者の転作はしっかり支援しなければなりません。国策として協力してきたわけですから。減反にも通じる話でしょう。

 戦後の日本を支えてきた人たちが、今、どのような状況にあるのか? それに対して国や我々はきちんと報いることができているのか?
 そんなことも考えさせられます。
 全国各地を歩くことは、地方の現実を見ることでもあります。
 ウォークのもう一つの、そして大切な側面です。

 第8回のウォークでも、多くのみなさんに助けられました。改めて、お礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 


フランスでの講演(7月11日)。

 7月10日から14日までフランス・リヨンを訪れて、旧知の所長が率いる国際がん予防研究所で、ウォークの意義を語りました。
「がんサバイバー支援は国際的な問題だ。それを垣添先生が歩いて訴えるというのも新鮮だ」ということから、講演を依頼されたのです。束の間のフランス滞在の様子も、インスタグラムにアップしています。
 最終回の第9回は、北海道。16日のスタートです。函館から歩きはじめて、ゴールの札幌市の北海道がんセンターを目指します。
引き続き、ご支援ご声援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 このページでは、同行していた方々にご提供いただいたお写真も掲載させていただきました。個々のお名前は省略させていただきます。ご協力どうもありがとうございました。

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