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「第2の患者」ショックを受けた家族

掲載日:2018年10月16日 8時22分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも少なくありません。日本対がん協会では2006年より「がん相談ホットライン」を始めました。たくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。新シリーズ「ホットライン便り」でお届けいたします。

「第2の患者」ショックを受けた家族

 「私がショックを受けています……」。  女性が涙ながらに電話をかけてこられました。ご主人ががんと診断されたばかりだと言います。  病気知らずで、大病どころか風邪らしい風邪すら引いたことがなかったそうです。それが、検診を受けたら要精密検査の通知が届き、病院で詳しく検査したところがんが見つかったということでした。  ご主人は相談者からみると冷静で、治療について調べ始め、セカンドオピニオンを受けることも考え、もう行動に移し始めているといいます。「支えなくては」。頭ではそう思うのに気持ちがついていかない。溜め息交じりのこの言葉には、家族としての戸惑いや辛さが滲み出ていました。

 がんと診断された時、患者さんが衝撃を受け混乱することがあるのはよく知られています。しかし、家族も同様にショックを受け、時には患者さん以上に動揺したり、不安になったりすることがあります。決してこの相談者に限ったことではありません。家族によくみられることで、家族は「第2の患者」と表現されることがあるくらいなのです。  しかし、家族は患者さんを思い、本人が一番辛いのだから自分が弱音を言ってはいけない、落ち込んではいけないと気丈に振る舞おうとします。この相談者もそうでした。患者さんを支えようと一生懸命なのです。

 でも、大切な人の命に関わることが起き、自分の人生も変っていくかもしれない…。そうした状況で平然としていられる人はいるでしょうか。  不安や辛さだけでなく、信じたくない気持ち、怒り、絶望感、落ち込みなど様々な気持ちになることがありますが、これは自然な心の反応です。  ですが、家族はこうした気持ちになったこと自体、悪いことだとか、後ろめたいと感じたり、自分を責めたりすることすらあります。ホットラインに寄せられる相談にも、自分の気持ちを言いにくそうに話す家族は多いものです。

 家族にも様々な心の反応が起こり、そうした時は誰かに話してよいこと、それを伝えるだけでほっとする方もいます。  家族は支える立場であるのと同時に、支えが必要な立場であること、ぜひそのことを知っていてほしいのです。家族が患者さんを支えたいと思うように、家族の周りにいる様々な医療者も家族を支えたいと思っています。力になりたいと思っています。  もちろんホットラインもその一つです。  
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