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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第30回 端午の節句は勢いよく伸びるあの食材でお祝いを

掲載日:2024年4月26日 12時00分

 こんにちは。クリコです。

 5月生まれのせいか、この季節になると体の内側から力が漲るような感覚があります。子供の頃、家の窓からは大きな空と家々の屋根をはるか遠くまで眺めることができました。4月も半ばになると、甍と雲の波間をたくさんの鯉のぼりが風をはらみ悠々とうねります。その清々しい姿に、なぜ自分は男の子に生まれなかったかと悔しくて仕方ありませんでした。
 屋根より高い鯉のぼり…現代の都会ではなかなか見られない懐かしい昭和の風景です。

端午の節句になぜ鯉のぼり?


 五月五日の端午の節句は、男の子の誕生と成長を祝う行事です。奈良時代に災厄を避けるための宮中行事として、強い香りの菖蒲やよもぎを軒に挿したことが起源とされています。
 鎌倉時代に入り、菖蒲=尚武(武勇を尊ぶ)と解釈され武家社会に広まって行きます。江戸時代には将軍家の世継ぎ誕生を祝う重要な式日となり、武家でも玄関前に馬印(本陣の場所を示す標識)やのぼりを立てて男子誕生を祝うようになったのだそうです。
 武家を真似て庶民は吹き流しを揚げていましたが、「滝を登り切った鯉は竜になる」という中国故事にちなみ、立身出世を願い鯉が描かれるようになります。いまもてっぺんを飾るのは五色の吹き流しです。

のんぼり洗い

全国各地で大盛況の鯉のぼり祭


 例年、観光のための鯉のぼりが各地で掲げられています。茨城県常陸太田市の「竜神狭鯉のぼりまつり」は約1000匹もの鯉のぼりが揚げられますが、群馬県館林市の「こいのぼりの里まつり」は2005年に5283匹を揚げ世界記録に認定されました。
 珍しいところでは、石川県金沢市「浅野川鯉流し」で清流の中を泳ぐ鯉のぼりを見ることができます。
 今年も多くの観光客が足を運び、初夏の訪れを迎えています。

手書き鯉のぼりが作られるまで


 60年代に化繊の生地に絵柄を印刷した鯉のぼりが大量生産されるようになり、伝統の手染め手描き鯉のぼりは希少となっています。
 作業は13もの工程があります。
 ①生地裁断 ②縫製 ③目廻し(目の輪郭を描く) ④黒目入れ ⑤筋書き(髭や鱗の模様を描く)  ⑥うす墨(青、ピンク、黄色などの色つけ) ⑦ぼかし(腹部分に薄めた染料でぼかしを入れる)  ⑧こけだし(鱗などの模様をつける) ⑨群青塗り(濃い青色を塗る) ⑩金引き(5本の筆で金色  の飾りを描く) ⑪片側も同様の作業  ⑫腹びれ縫い付け ⑬口輪付け

 フリーハンドで勢いよく描かれる筋書き、生き生きと見えるように描く黒目の大きさや角度、立体感 を出すぼかしなど、熟練した職人の技で布に命が吹き込まれていきます。

 愛知県岩倉市の創業400年以上の歴史のある幟店が五条川で行う「のんぼり洗い」は風物詩となって います。染めるときにつけるのりを洗い落とすと赤や黒、青など鮮やかな色とともに鯉のぼりの模様が くっきりと浮かび上がり、川面に並ぶ姿がなんとも美しい光景です。

 童心に帰って、大空に登る鯉を心ゆくまで眺めてみたいものです。

 端午の節句の祝膳には縁起の良い食べ物として、まっすぐ大きくのびる筍が使われてきました。今回は香り高い筍のすり流しの作り方をご紹介します。繊維が多い筍もミキサーにかけて和風ポタージュに。出汁と西京味噌との相性がばつぐんの木の芽味噌を添えるとさらにおいしく召し上がれます。
 ご家族皆様でお楽しみください。

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 筍のすり流し

【材料 1人分】

材料名 分量
1 筍(下ゆで済み) 100g
2 新玉ねぎ 30g
3 じゃがいものピュレ 15g
*作り方は第6回「じゃがいものピュレ」参照
4 出汁 120cc
5 西京味噌 35g
6 薄口醤油 小さじ1/8
7 粉山椒 適宜
8 【木の芽味噌(作りやすい分量)】
西京味噌 70g
薄口醤油 小さじ1弱
小さじ1
みりん 大さじ1
9 木の芽 10g

【作り方】

  1. 下ゆでした筍を2cm角に切る。玉ねぎも2cm角に切り、耐熱容器に入れ600w4分加熱する。
  2. じゃがいものピュレを用意する。冷凍保存してある場合は解凍する。
  3. 1、2と出汁、西京味噌、薄口醤油をミキサーにかけ、さらに粉山椒を混ぜる。好みで、冷蔵庫で冷やすか鍋に戻し温め直す。
  4. 木の芽味噌を作る。木の芽味噌の材料を鍋に入れ弱火にかけヘラで混ぜる。照りが出たらそのまま冷まし、すり鉢ですった木の芽を加える。
  5. 3を器に注ぎ、木の芽味噌を添える。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ) 自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。 食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。 【Webサイト】 「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」 https://curiko-kaigo-gohan.com/ 【主な著書】 「希望のごはん」(日経 BP社) 「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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