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「がんに対してオープンな世の中を作りたい」~第1回サバイバーカフェ開催レポート

掲載日:2017年9月20日 13時42分

第1回がんサバイバーカフェを開催しました

がんサバイバー・クラブは9月13日、初めての交流型イベント「がんサバイバーカフェ」を開催しました。今回のテーマは「患者会・サポートコミュニティ運営のためのデジタルツールの効果的な活用」。平日の夜7時という時間にもかかわらず、患者会を運営している方やこれから始めようと思っている方ら16名が集まりました。(会場は中外製薬様会議室を無償提供いただきました)

ゲスト講演は、NPO法人「がんノート」岸田徹さん。参加者は熱心にメモを取ったり、グループディスカッションでお互いの悩みや課題を共有しあったりしながら活発な学びの場となりました。

第Ⅰ部 ゲスト講演「がんノート」岸田徹さん

「がんに対してオープンな世の中をつくりたい」ブログから始めた情報発信

岸田徹さんは25歳で「胎児性がん」と診断されました。
「僕に会う前にこの病名聞いたことある人いますか?」がんに対してオープンでありたいという岸田さんが明るい声で会場に呼びかけました。誰も手を上げません。
診断時は社会人2年目。「お金・仕事・後遺症」のことで困ったといいます。入院中も、家賃のことが心配だったそうです。そして何よりも同じ悩みを打ち明けられる仲間がいないこと、情報が不足していることを感じ、自らブログを通して発信していきました。
同世代の方を励ましたいと始めたブログでしたが、多くの世代の共感を呼び、月間30万人に閲覧される大人気ブログとなりました。

「まずは100回やってみよう」

現在は「がんノート」というインターネットでの「インタビュー型情報発信番組」を生放送で流しています。
岸田さんはプロジェクターに「がんノート」の紹介映像を映し出しました。岸田さんとゲストが、まるで世間話でもしているかのように朗らかな雰囲気でインタビューが進んでいきます。
立ち上げた時、「まずは100回やってみよう。100回やったら何か見えてくるのではないか」と思いました。すると50回目で企業の研修会などに、講演依頼が来るようになり、60回目で協賛企業の支援が得られ始めました。

岸田さんはどんな活動も「継続して続けることが大切、ちょっとした工夫を繰り返すことが大切です」といいます。参加者の中にはブログで自らの治療の経過を発信したり、患者会を運営したりした方も多く、岸田さんの苦労がよくわかるのでしょう。大きく頷いている方がたくさんいました。
「がんノート」の生放送も現在70回目、ますます多くの方に広がり続けています。

広報のポイント「クラウドファンディング、仲間の力を借りること」

岸田さんの話は続いて誰もが苦労している資金集めに話は移りました。
「立ち上げから2年目の2016年、『クラウドファンディング』にトライしました。多くの方が賛同してくださって、340万円が集まり、がんノートの社会的認知度も一気に高まりました。」
クラウドファンディングとは、専用ウェブサイトを通じて、広く資金を募る方法です。岸田さんは「Readyfor」というサイトを通して行いましたが、他にも「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)、Makuake(マクアケ)」など多くのサイトがあるので、手数料や特色をよく見て選ぶことを勧めました。
「がんノート」の活動は多くの仲間に支えられているそうです。病院での放送では、ポスターを貼ってもらったり、パブリックビューイングの会場を用意してもらったりしました。またある会場では、ビデオの機材などを用意してもらったこともあったといいます。広報活動では、自分だけではなく仲間の力を借りることが大切だそうです。

運営で活躍するデジタルツール5つのご紹介

団体を運営するにあたり、メンバー間での情報共有やコミュニケーションが欠かせません。そこで力を発揮するのがデジタルツールです。岸田さんは、「がんノート」で使用している5つのデジタルツール「Facebook, Slack, Trello, DropBox, Zoom」を紹介しました。

「これらのツールを初めて聞いた人は?」という問いかけに、大きく手を上げる参加者たち。「Facebookはよく使っているけれど、他は初めて聞きました」「英語が使える人はいいけど、ちょっと馴染みにくいかな」とつぶやきながらも熱心にメモを取り始めます。

Facebook:イベントの集客、広報など。利用者が多くイベントへの参加が簡単にできる。
Slack:組織内のコミュニティツール。ファイルの共有がしやすい。
Trello:TODOリスト(やることリスト)の管理。
Drop Box:写真や大きなファイルの共有。
Zoom: URLをクリックするだけでビデオ会議ができるのが特徴。

岸田さんが「慣れてしまえば難しくはない」と丁寧に説明して、参加者もどこかほっとしたような表情を浮かべていました。講演の後では「このような便利なツールが無料で使えることを初めて知りました」「まずは試してみたいです」「是非次回は、それぞれのツールについて、講習会を行ってください」などの声が寄せられました。
続いて第Ⅱ部では「がんサバイバー・クラブ」の運営メンバーが講演しました。

第Ⅱ部 団体を運営されている方にお伝えしたいこと

活きた情報を一人でも多くの人に伝えたい ~情報をお寄せください~

がんサバイバー・クラブでは「イベント情報」「患者会情報」のページで情報を発信しています。第Ⅱ部の冒頭、がんサバイバー・クラブのマネジャーで患者会情報担当の横山光恒がこのように話しました。
「もし、患者会を運営されている方で『ウェブでの発信は専門的知識もないし苦手だな』と感じている方や、『イベントの参加者が思うように増えない』等のことで困っている方がいらしたら、是非情報をがんサバイバー・クラブにお寄せください

がんと向き合っている方の中には、患者会やイベントに参加したいけれどなかなか勇気が出ない」という方が多くいらっしゃるといいます。横山は「顔の見える情報を伝えることが大切」と語り、こう続けました。
「活動の様子やお写真、メッセージなどと一緒に情報を送ってくれれば、がんサバイバー・クラブのウェブサイトに掲載し、一人でも多くの方に伝えることを一緒にお手伝いします!」

第Ⅲ部 PR・広報のためのデジタルコミュニケーションツールの活用法

続いてがんサバイバー・クラブの市川裕康が「PR・広報のためのデジタルコミュニケーションツール」を具体的に紹介しました。団体でイベントの企画をしてから開催、次回につなげるまでの流れの中で大切な4つのポイントを伝えました。

ポイント1.企画: 省エネイベントのススメ

団体の活動を広報していく上では、オンラインでの発信だけでなく、オフライン(実際に人と人とが会う場)での繋がりが大切です。しかしイベントの企画・集客・開催はとても手間がかかるもの。そんなときお勧めなのが「省エネイベント」です。
「場所はいつも同じ、開催の曜日・時間なども決めておくと悩む必要がありません。ゲストなどのスケジュール調整もしやすくなります」

ポイント2.集客: チラシ作成とオンラインでのイベント告知

イベントの集客にはチラシが欠かせません。自分で0から作るよりも、デジタルツールを活用することで、短時間でレイアウトの整ったチラシを作成できます。市川は、チラシ作製ツールとして「Canva(カンバ)」を紹介しました。
また、オンラインで集客する場合は「Peatix(ピーティックス)」がお勧めです。「Peatix」では参加者は申し込み時点でチケットを購入します。そのため、開催者の赤字を抱えるリスクを下げることができ、当日の参加者人数も読めます。
また「Peatix」 には、「主催団体をフォロー」する機能があり、次回イベントを企画した際に、一度でも過去のイベントに申込みしたことのある参加者に対して、自動的に連絡がいく点もメリットがあります。

ポイント3.当日:開催の様子を記録して発信しよう

写真、ツイッター、フェイスブック、ブログ等を通じて、情報発信をすることの意義を市川は次のように語りました。
「発信をしなければ、情報を共有できるのはその時間・その会場にいた人限りです。ところがイッター、フェイスブック、ブログ等で発信することで、情報共有をできる相手が何千、何万人へと伝わり、有機的に可能性が広がります」

ポイント4.イベント開催後:参加者同士のつながりを作るには

参加者同士の継続した交流や次の活動につなげていくために、イベントに参加した人へのフェイスブックの非公開グループを作ったり、メーリングリストを作ったりするなど、交流できる場の提供を考えるのも主催者の大切な役割です。

第Ⅳ部 グループディスカッション

仲間の見つけ方

学びのあとは、参加者同士5~6人のグループ3つに分かれて、自由に意見交換やディスカッションを行いました。
「会を立ち上げたいと思っているが、ひとりではとてもできない。どうやって仲間を見つけたらいいのだろう」
あるグループでは、参加者の1人がそんな悩みを打ち明け意見交換が始まりました。
「この人と一緒に活動してみたい!と思う人を見つけたら『一本釣り』でアタックしてみるべき」
「コア(核)となる仲間は必須。活動を長く続けていると、時には困難なこともあるけれど、志を同じくする仲間がいたからがんばれた」
などの自分の経験を踏まえたアドバイスが寄せられました。また一方では
「運営メンバーの8割は入れ替わるものだと思ったほうがいい。メンバーの入れ替わり時に業務が滞ることがないように、日頃から活動の際に使用している文書や写真などの情報は、きちんと整理することを心掛けた方がいい」
などの具体的なアドバイスもあり、参加者同士頷きあいながら活発に意見交換を交わしていました。

また別のグループでは団体の広報に関しての意見交換が行われました。
「一応ウェブサイトはあるが、どれくらい見てもらえているのかわからない」
という意見に対して
「メールマガジンを利用するという方法もある。どのサイトが何回クリックされたか、どんな記事が読まれているかもわかるので、自分の団体に求められているものがわかる」
といったアドバイスが寄せられました。

一方「デジタルな情報発信もいいけれど、やはり『紙』での広報も欠かせない」
といった意見もあがり、盛り上がっていました。
意見交換の後は、3つのグループごとにディスカッションの成果を発表しました。最後は全員で集合写真を撮影し、和やかな雰囲気で閉会しました。またその後の懇親会には、参加者16名中13名が参加しました。引き続き悩みを相談しあったり、楽しく談笑したりと、サバイバーカフェとはまた違った雰囲気の中で親睦を深めました。

第1回「がんサバイバーカフェ」のアンケートからは「質・内容ともに最強を目指してください」という激励メッセージや「今日紹介されたツールの具体的な使い方講座をやってほしい」「がんサロンや患者会の立ち上げ方講習会を行なってほしい」などの要望が寄せられました。

がんサバイバー・クラブでは今度も継続して「がんサバイバーカフェ」を開催し、「がんサバイバーの「治りたい」「普通の生活がしたい」という思いや、家族や大切な人を「支えたい」という気持ちに寄り添う場」として活動を続けていきます。(文:大石しおり)

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