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第8回 ビバ!チーム医療 ~患者を支える、病院内のお助けマンたち~ 
木口マリの『がんのココロ』

掲載日:2018年8月31日 9時58分

ビバ!チーム医療 ~患者を支える、病院内のお助けマンたち~

 病(やまい)の院と書いて「病院」。
 自分の心身にトラブルがおこったときには、真っ先に飛び込むところでしょう。しかしながら、ほとんどの人にとって「できれば行きたくない場所」であることも事実。その理由は、身体を治してくれる以上に、「怖い場所」だからではないでしょうか。
 ひやりとした無機質な壁、白衣とマスクで体の大部分を覆った医師……。聞きたくない事実が明らかにされることがあるうえ、治療には痛みを伴う場合も多い。私にとっても病院は、子供のころからまったく楽しい場所ではありませんでした。

 ところが、どうあっても病院を訪れなければならない事態が、人にはおこることがあります。そのひとつが「がん」! 「治してくれる」という部分だけに意識を集中させ、霧のように漂う恐怖を押し殺し、そびえ立つ病院の門(注:イメージ。普通に自動ドア)をくぐるのです。

 ……というのは大げさだとして、とにかくこれまで大病院にお世話になることはほとんどなく、しかも重い病気の治療でしばらく身を寄せなければならないとき、 “病院の深部”という知られざる空間に多少なりとも不安を覚えてしまうもの。その中で働く医療者たちは、数々の医療ドラマにあるように、「体の不具合を治す」ことに注力していて、なんとなく冷ややかなイメージ。
 しかし、実際に入院生活が始まって気付いたのは、「今の医療は想像していたのと全然違う!!」ということでした。



参上! チーム医療戦隊

 何が違うのかというと、現代の医療が“人間寄り”になってきていること。患者を“治す”だけでなく、“支える”医療になっているのでした。そのために、「みんなで力を合わせて治療にあたろう」という体制になっています。
 それはズバリ、今話題の「ザ・チーム医療」!!  医師や看護師はもちろん、薬剤師、栄養士、医療ソーシャルワーカーなどの医療者たちが、それぞれの専門性を活かし、「医療界のヒーロー戦隊」のごとくに患者を支えているのです。

 私の勝手な想像では、医師=レッド、看護師=ピンク、薬剤師=ブルー、栄養士=グリーン、医療ソーシャルワーカー=イエロー等々……といったところでしょうか。戦隊メンバーのパワーと叡智を結集して、各々が“サブ”としてではなく“プロ”として治療を行なっていきます。


WOCナースさんは人工肛門ケアのエキスパート。医師にもとても頼りにされている存在です。

 たとえば看護師であれば、今では「がん化学療法認定看護師」、「緩和ケア認定看護師」、「皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)」など、専門性の高い技能や知識を身につけた方が多くいます。私が濃厚にお世話になった(なっている)のは緩和ケア看護師とWOCナースのみですが、患者に親身に寄り添ってくれるだけでなく、医師にもおおいに頼りにされているシーンをたびたび目の当たりにし、意外であると同時にとても素晴らしい流れだと思いました。

 医師が治療の中心的存在であることは変わりませんが、看護師だからこそできること、薬剤師や栄養士だからこそできることに着目した医療になっているのです。「医療って、良い方向に進化しているな〜」と、目がキラキラしてしまいます。



まだまだ! チーム医療戦隊(個別活用)

人工肛門&抗がん剤脱毛からのスーパーベリーショートのとき、リゾートでビキニを着てみようと思い立ちました。たくさんの医療者の支えがあったために、「今の私」を楽しむことができるようになったのだと思います。

 このチーム医療戦隊、常にみんなで戦っているのではなく、患者の希望で個々にもお助けマンとして活躍してくれます。
「副作用でごはんが食べられないから、グリーン(=栄養士)に助けてもらおう」、「退院後の生活が心配になってきた。じゃあ今日はイエロー(=医療ソーシャルワーカー)かな」、などなど、悩みや不安に応じて相談することができるのです。
 もしも治療を受けている病院にいなければ、全国に約400ある「がん診療連携拠点病院」の「がん相談支援センター」で相談に応じてくれます。よく分からない場合は、まずはレッド(=医師)やピンク(=看護師)に相談して、だれと話すのがベストかを聞いてみたらいいかもしれません。

「お助けマンがいるなんて、治療が終わるまで知らなかったよ!」という方も多いでしょう。私もしばらくの間、まったく知りませんでした。そのことは医療者も問題視していたようで、最近では、がんと診断された患者全員に話をして、「知っていたらもっと気持ちが楽だったのに……」と、残念な事態にならないような対策をとっている病院もあるようです。
 がんの新しいお薬や治療法が驚異的なスピードで生まれていますが、それと同様に、がん医療をとりまく体制や、考え方もどんどん変化しているのです。

※緩和ケアと栄養については、本連載『がんのココロ』の「意外と知らない、現代のがん事情・2/ちょっくら緩和ケア』(第5回)や、「ザ・栄養士 〜ユニークな発想で、食べられる喜びを〜」(第7回)をご覧ください。
 
 今回は5色(5種)の医療者をカラーで例えてみましたが、病院内には、まだまだたくさんのお助けマンがいます。気持ちの整理がつかないときは、臨床心理士が頼りになります。がん体験者さんなどがボランティアで行なっている「ピアサポート」もお助けメンバーと言えるでしょう。
 病院外でも、ハローワーク(職業安定所)の出張窓口や、社労士による就労相談などを行なっているところもあります。どんな悩みであれ、ひとりで抱えずに話してみれば、きっと道は開けていきます。「助けたい」と思ってくれている人たちを頼りにしてみるのもひとつの方法だと知っておいてもらえたらと思います。



トコトン! チーム医療戦隊(参加型)

点滴の日付に看護師さんが書いてくれたハートマーク。「なんだか気持ちをホッとさせてくれる」という意味で、やはり看護師さんのヒーローカラーはピンクだと思う。

 ところでここで、面白い事実をひとつ。これまで“救われるだけ”だった患者も、現代の医療では自らチーム医療戦隊に加わることができます。「参上!」とやってきたヒーローたちに、「こっちの救い方がいいと思う」と意見することも可能だという。普通のヒーロー番組だったら「ええええ!!」というところですが、現実世界ではアリなのです。

 と、言うよりも、患者が自分の病気や治療法について学び、医療者としっかり相談して納得したうえで治療を行なっていくことが、患者のひとつの在り方として選択できる時代になっています。
 その流れを受けてか、現在では患者が最先端のがん医療を学べる場が実に多くあります。医療機関やがん関連の団体で数々のセミナーを行なっているほか、今まで医師だけのものと思われていた学会も、患者向けのセッションを開催しているところがちらほら出てきました。「日本臨床腫瘍学会」や「日本肺癌学会」などがその例です。
 医師の講演のほか、医師と患者が一緒に登壇してディスカッションを繰り広げることもあるなど、なかなかにおもしろい。遠方の患者さんのために旅費を援助してくれる学会もあるほどで、これまたいい展開だなあとしみじみしてみるのでした。



医療は、高い理想に向けて

 がんは、どことも分からない雪山に、いきなり放り出されることと似ています。多くの場合は何の準備もなく、仲間もおらず、吹雪が吹き荒れる中、それでもひとり、歩いていくしかない状況に陥るわけです。

 そんな中で、手を引いてくれるのが医療者のみなさんです。それも、今はチームでやってきてくれる。一緒に歩いてくれる人がこんなにいることは、それだけで心強いものがあります。

 現代の医療は、高い理想に向かっていると、つねづね思います。それは、今、がんと向き合っている人、そして未来にがんと向き合う人たちにとっても、明るい道筋となっていくのではないでしょうか。


これからの医療は、ハートが大事!(看護師・医師などの医療者と患者が協力して開催した病院内写真展のひとこま)

木口マリ

「がんフォト*がんストーリー」代表
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。

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