大会当日は、朝日がん大賞、日本対がん協会賞などの表彰も行われます。今年、日本対がん協会賞の団体部門を受賞したのは「がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ」のみなさんです。
代表の中村航大さんは高校1年生。小学校2年生の時に脳腫瘍を発症しました。中学2年生の時に樋野興夫・順天堂大学教授(今年の朝日がん大賞受賞)が提唱した「がん哲学外来」の活動に共感し、2017年に中学のクラス仲間ら3人と、名古屋市で「がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ」を立ち上げました。定期的にメディカルカフェを開き、がんについて語り合っています。中村さんは、お母さんと一緒に来場されました。
大会では、日本対がん協会ほほえみ大使でもある歌手・エッセイストのアグネス・チャンさんの講演「明るくさわやかに生きる ~アグネスが見つめた生命~」もありました。ご自身の乳がんの体験を基に、家族の絆、命と向き合うこと、生きる喜びや早期発見の大切さなどを語り、最後は歌も熱唱。笑いあり涙あり、の1時間でした。
大会終了後、アグネスさんを中村さんが訪ねました。講演が心に響いたからでしょう。控室の前の廊下で、アグネスさんは中村さんをハグしました。つらかったはずの経験を広く社会的な活動に昇華されている中村さんを、アグネスさんが大きな愛で包み込んでいるようでした。
それから、お母さんも交えて記念撮影をしました。ふわっと暖かい空気が広がりました。
中村さんから後日届いたメールに、「とても良い経験ができました。これからも頑張ろうと思いました!」という一節がありました。
世代を越えたつながりが芽生えて、それが明日へとつながっていく。これも広い意味での「キャンサーギフト」なのかなと思いました。
(文・中村智志)
1400人以上の聴衆を前に講演するアグネス・チャンさん。率直な語りは感動を呼んだ。
表彰を受ける中村航大さん。11月、朝日がん大賞を受賞した樋野興夫先生を名古屋に招いて、受賞記念の会を開く。