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第54回 ウィッグの「気になる!!」を試してみた 〜実験編〜/木口マリのがんのココロ

掲載日:2020年12月3日 10時00分

 前回の「ウィッグでハッピーを呼び込むために 〜基本編〜」に引き続き、ウィッグのお話です。

「コントのように、風でピューンと飛んでしまうのでは!?」「いかにもズラっぽく見えてしまうかも」「私はきっと、似合わない……」など、がん患者のウィッグの悩みはつきません。

 そこで今回は、私が脱毛中にトライしてみた「実験編」をご紹介します。

ウィッグ実験! 「風で飛ぶ!?」「人に気付かれる!?」

抗がん剤後、チョビ生えのころのウィッグ。眉毛が生えすぎた。

「風」や「人の目」など、初めてウィッグを使おうとするがん患者さんは、気になることがいっぱいです。私も当初は、数時間かけて医療サイトや販売サイトを検索しまくり、頭が痛くなるほど口コミを読んでまわりました。

 私が購入したウィッグは2つ。結局のところ脱毛中は、スカーフを頭に巻くか帽子を利用していたので、ほとんどウィッグを使わなかったのですが、せっかくなのでいろいろ試してみました。

(1)「風で飛ばないのか!?」
(2)「ウィッグだと気付かれないか!?」

……(1)の結論、「意外と飛ばない!!」

 いかにも風で飛びそうなイメージがあるウィッグ。しかし、そうそう飛ぶものではありません。台風前のそれなりに強風が吹いているときに試してみましたが、「飛ぶかも!」という不安はありませんでした。

 というのも、通常、ウィッグは頭にポンと乗っているのではなく、冬場のニット帽くらい深々とかぶるうえに、内側にあるアジャスターでキュッと締めつけを調整できるのです。
 気になる場合は、ウィッグの上に帽子をかぶると安定感がアップ! ただし、夏は暑い。

……(2)の結論、「まったく気付かれない!!!」

 私は、ウィッグで外に出た時には、常に周囲を観察しておりました。と言っても、「私を見ろ〜」とギラギラにらんでいたら大変怪しいので、それとなく周りの気配をうかがうといった具合です。

 しかし、みなさんそれこそ素通り。だれも、私の頭なんか見やしない。ちょっとくらい気付かないものかなあと、お店のカウンターで店員さんに念を送っても気付かれず。

 友人とお茶をしたときも、照れくさいのは最初だけ。私が脱毛中であることを知っている彼女は、「普通だね」と言っていました。そのうちお互いに慣れてしまい、特に違和感なし。

 ちなみに治療から数年後の飲み会で、「ウィッグを見てみたい。かぶって来て」と頼まれたため、クローゼットから久しぶりにひっぱり出し、どんな反応があるかとワクワクしながら参加したことがありました。

 しかし、誰一人反応しない……。最後まで、まったく気付かれませんでした。仕方がないのでカミングアウトしたら、「髪を切ったのかと思ったよ」とのこと(オイッ! 自分で頼んだくせに〜!)。

 ……他人のアタマへの関心なんて、そんなもんです。

似合わないのではなく「見慣れていない」だけ

東京大学医学部附属病院 分田医師(中)とキグチ(右)と友人で「アフロウィッグまつり」!!(2019年に撮影)

「私、ウィッグが似合わなくて」との声を、がん患者さんからたびたび聞きます。そう言いたくなる気持ちは、私もよくわかります。かぶる前から、「絶対にヘンだろう」と思っていたし、家族に見せるのも、何だか恥ずかしい気がしていました。

 しかしそれは、似合わないのではなく、「見慣れていない」だけのことが多い。ボウズ頭だったのが突然フサフサになるという、その違いに自分がビックリするだけなのです。

 どうせビックリするのなら、あえて色や長さなど、デザインの違うウィッグをいろいろ用意して、そのときの気分で変えてみたら楽しいだろうなと考えておりました。私は当時、大変貧乏だったので実現はできませんでしたが。

 また、周りの人に治療中だと知られたくない場合は、ウィッグを脱毛前と同じ髪型にカットしてもらうといいようです。

脱毛用ケア帽子をかぶってみると……!?

「ケア帽子は、ウィッグの中だけでなく、帽子やスカーフの中にかぶるとバツグンにいい!」という日記のイラスト。

 試着したものも含め、これまで私が見たウィッグの多くは、内側が縦横無尽のネット状になっていて、肌触りはあまりよくありませんでした。

 ナイロン素材が頭皮にカサカサと当たるし、少しだけ生き残った髪が縫い目にからんで抜けそうだし、何しろ汗をかくたびにウィッグを洗うなんて、手間がかかりすぎる!

 そこで考えた私なりの装着法は、ウィッグの内側に、黒い薄手の脱毛用ケア帽子をかぶること。これがなかなかのスグレモノでした。髪がからまないばかりか、蒸れ対策、頭皮の保護にもなるのです。

 ウィッグの中にケア帽子をかぶったら「頭がかさばるのではないか」と思うかもしれません。しかし、薄手であれば見た目に違和感はありませんでした。

 もとよりウィッグは、自分の頭用に作られているわけではないので、なかなかぴったりフィットしないもの。アジャスターの締め具合によっては凹凸ができてしまいます。
 私は頭がとても小さいため、触るとかなりポコポコになっていました。でも人には気付かれず、自分でもそのうち忘れてしまいました。

 がんのココロ16「“見た目”の悩みも外来で!? カバーメイク・外見ケア外来 〜東京大学医学部附属病院 分田貴子医師インタビュー〜」でご紹介した分田先生の著書『女性のがんと外見ケア 〜治療中でも自分らしく〜』(法研)には、「ウィッグのヘアアレンジ」など、ウィッグライフが楽しくなるような内容がいっぱい。私もやってみたいと思いました。

 新しいものに出会うと、どんどん世界が広がっていきます。脱毛や、ウィッグもその一つ。
 今だからこそ、ウィッグだからこそできることはたくさんあります。多くの人に、自分だけの時間を楽しんでもらえたらうれしいです。

木口マリ

「がんフォト*がんストーリー」代表
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。

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