リリー・オンコロジー・オン・キャンバス

羊の思い・我が記録

著作者:藤井 高志 さん
出展:日本イーライリリー株式会社

羊の思い・我が記録

人生とはかくもドラマチックなものかと改めて思う。それが我が身に起こった。順を追って記してゆこう。

2012年3月末をもって36年間務めてきた地方公務員の職を定年まで2年残して退職した。美術教師の父の影響で、公募展への挑戦をきっかけに油絵を描き続けてきたが、仕事の時間を描くことに傾けたいという思いが抑えられなくなってきたこと、仕事の悩みが日常の気持ちを脅かし始めたことが理由であった。家内も中学校の音楽教師として働いてくれていたおかげで、わがままを通すことになった。我が世の春といった思いで、存分に絵を描く毎日であったが、旅の話となり、道内中札内への旅行も家内とお母さんとで行ったのだが、たまたまその泊まったところで飼われていた数匹の羊を絵にすることを目的に取材しておいた。

年も明けた2013年1月18日朝に突然の血痰、検査の結果は肺の癌であり、幾つもの転移が認められ第Ⅳ期とのことであった。自分と家族にとって命の限りを感じるショッキングな宣告であった。

1ヵ月サイクルで、入院、抗がん剤投与、その後、薬を飲み副作用の様子が問題なければ10日前後で退院、家で生活の繰り返しとなっている。担当医の先生や看護師さんとの関わりも大きいと思うが、宣告を受けてからも気持ちが穏やかなこと、多少の副作用があっても、3年を経過する中で、沖縄、京都・伊勢、イタリア、台湾香港クルーズ、ラスベガスの旅、個展も数回行うなどほとんど常人と変わらない、いやそれ以上のことができているのは驚きだ。

当時は牧歌風景として描こうと思い取材したのだが、治療を続けながらこうして描いてみると、まさにこの羊が私自身に思えてくる。いろいろなことがあっても心境がこの羊のように穏やかな精神力を保ちたいとの願いを込めて。これからも自分の生きる記録として絵を描くことをライフワークとしていきたいと思っている。

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この各作品はリリー・オンコロジー・オン・キャンバスの作品・エッセイです。

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