リリー・オンコロジー・オン・キャンバス

遠くに光が!!

著作者:後藤 弘一 さん
出展:日本イーライリリー株式会社

遠くに光が!!

「イヤな奴でも仲良くしてやっか!」

こんなにイヤな奴とは初めて知った。今までの私の幸せな生活の中に突然無断で入り込み、あちこち荒らし回って幸せという文字を踏みにじったのは昨年の秋。要精検の報せを受けて肺の検査を受けたが誰も結果を教えてくれない。これは悪い証拠、ドクターに「肺がんですね。オペ出来ますか。」と訊ねると、「手術は出来ませんが、このがんには薬が効きます・・」との答え、悪い所は切ってしまえばいいさと思っていたので当て外れだった。

簡単には部品交換のきかない生身の身体が80年もったと言うのも不思議な気がするが、私にはまだまだやりたい事が一杯ある。イヤな奴の勝手にはさせない。

イヤな奴と戦う心の準備は出来ている。
まず一番に自分のがん治療にベストを尽くして下さっている先生、看護スタッフを信頼しきること、次に生き抜く気力、治療に耐えうる体力を保持する事が大切、イヤな奴は何をしでかすか分からない。入院中、近くの公園に桜を描きに行った時の事、つばの広い帽子をかぶって絵を描いていた年配の女性が私を見上げるようにして言った「長生きしてくださいよ、生きてりゃ楽しいこといっぱいあるんだから」と。顔は帽子に隠れて見えないが仏様のような優しい響きが耳に残っている。

今は希望を持ってイヤな奴と承知の上で仲良く付き合ってやろうと思う。機嫌を損ねられたら困るのは私自身だから。

絵にはがんだと知った時の暗闇から命を預けうる病院を見つけ、命を預けうるドクターとめぐり合い、入院出来て心の中に光が差し込んだ時の喜びを頭上の暗雲、彼方の明るい光で表したつもり。

古くからの絵の友達、テニスの仲間、町内の方々、我が家族達の温かい励ましの言葉に勇気を頂いた。感謝するとともに、私は決してがんには負けないことを誓う。

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この各作品はリリー・オンコロジー・オン・キャンバスの作品・エッセイです。

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